原爆の図
八月、高浜のかわら美術館で「丸木位里、俊展・原爆の図」をみてきました。
全十五点のうち原画三点が公開されていて、その三点が第一部の『幽霊』、第四部の『虹』、
第十一部の『母子像』でした。
私が中でも心を動かされたのが『虹』。そのむなしさとかなしさ。
あの惨状の中、虹ををみたとして、いったいどこに希望をみつけられただろう、
焼けただれた体が今にも使いものにならなくなろうとしているときに、
どうやって心を取り戻せただろう、と思わずにはいられませんでした。
あと、パネルでの展示でしたが、全十五点を一同にみることができました。
その中には第九部『焼津』というタイトルの第五福竜丸を描いたものもありましたし、
第七部『竹やぶ』では、まるで自然にすがろう、守られたい、
少しでも自然に許されようとするかのような人々の姿がありました。
これをみて水の存在に対してもきっと同様だったのだろうと、ふと思いました。
また、二階に展示されていたデッサンにも迫力がありました。
特に俊さんのデッサンの何という力強さ。非常に説得力がありました。
原爆投下は人災。
人間が創り上げた恐ろしい兵器から、さらに生み出された惨劇。
果たして地球上のすべてがそれによって焼け野原になったとして、
そこから逃れよう、救われようとする人間を母なる地球は、自然は、許すでしょうか。
子供のすることだから、と見逃してくれるでしょうか。
今度こそ、自業自得と切り捨てられても仕方がないのではないでしょうか。
そんなことを思った暑い夏の一日でした。
<2007.09.15 vol.90>