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【経緯・トピックス】     日本政府(文科省)の「勧告違反告発・糾弾!!

 全教(全日本教職員組合)による申し立て(アリゲーション) 

 2002(h14)年6月28日
     ※ 「申し立て」の内容、及び、これまでの経過  【経過 概要】     【勧告関連 資料集】

News …… Topics

 2010618日 第308回ILO理事会(ジュネーブ) 全教の申立(2002年)度目の中間報告
◆◇2010年6月18日(金)発表ILO/10/36◇◆

 第99回ILO総会閉幕直後に開かれた標記理事会は、2010〜11年の議長として、チュニジアの在ジュネーブ国連常駐代表であるアブデルワヘブ・ジェマル大使を選出しました。使用者側副議長には、ダニエル・フネス・デ・リオハ・アルゼンチン産業連合社会政策部会長、労働者側副議長には、理事会労働者側グループのスポークスマンでもあるルロイ・トロットマン・バルバドス労働者組合書記長がそれぞれ再選されました。

 理事会ではほかに、2011年6月に開かれる第100回ILO総会の議題として、労働行政と労働監督の動向と課題に関する一般討議を行うことも決定されました。
 理事会にはILO結社の自由委員会の第357次報告書も提出され、承認されました。委員会には現在128件の案件が提起されていますが、本委員会はうち39件を検討し、労働組合員らの専断的な拘束が問題になっているコンゴ民主共和国、委員会から既に勧告が出されているにもかかわらず教員団体の組合登録が進んでいないエチオピア、バス会社の組合に対して繰り返される抑圧行為と組合会長の拘束、そして使用者団体の事務に対する政府の介入と行政によるその解体といった、労使双方の結社の自由に関する2件の案件が提起されているイラン、鉱業部門におけるスト後の多数の組合指導者の解雇及び組合活動家の殺害が問題となっているペルーの案件に特に注意を喚起しました。
 公務員の労働基本権の制約等について連合及び全労連が2002年に行った日本の申立ても再度取り上げられ2009年6月に続く6度目の中間報告が出されました。国家公務員法改正法案の国会提出、労使関係制度検討委員会による自律的労使関係制度の措置に向けた報告書の取りまとめ、総務省内における消防職員の団結のあり方に関する検討会の設置など、昨年秋以降の進展に関する連合及び政府からの報告に留意した上で、委員会は日本で社会対話が再び活性化されている現状を歓迎すると共にこの方向性の継続を政府に促し、進展状況を継続的に報告するよう求めました。

 2010212日  全教声明「CEART第10回会議の到達点と勧告について」を公表
  全教は、ILOが2009年12月8日付で、全教中央執行委員長宛に送付してきたILO・ユネスコ「教員の地位に関する勧告」共同専門家委員会(CEART)第10回会議の報告についての声明を発表しましたので紹介します。
  【(2009/Nov.)ILO・ユネスコ「教員の地位に関する勧告」共同専門家委員会(CEART)第10回会議の報告(教員団体の提出したアリゲーションについての報告).pdf】
  【(2010/Jan./12)全教、CEART第10回会議の到達点と勧告について.pdf】

 2009928日〜1020日  ILO/ユネスコ教職員勧告適用合同専門家委員会CEART)第10回会合
 1966年に採択されたILO/ユネスコ「教員の地位勧告」及び1997年に採択された「高等教育教職員の地位に関するユネスコ勧告」の適用状況に関して各国政府、教員団体、使用者から寄せられた報告と情報を審査するILOとユネスコの合同委員会の会合で、ILOとユネスコそれぞれの本部で3年おきに交互に開催される。
 日本人専門家を含む12人の委員で構成されている。ユネスコ本部(パリ)で開催される第10回会合では、適用状況のモニタリングや教員団体から寄せられた申立てに加え、勧告の活用における進展状況や促進活動なども検討されます。

 2009613,14日   ILO/ユネスコ「教員の地位勧告」、CEART(4th)勧告を教育に生かす
                   国際シンポジューム  開催         於:エデュカス
 シンポジウムは、CEART第4次(4th)勧告(2008/10/29)と、ILO/ユネスコ「教員の地位に関する勧告」(1966)の今日的意義を国際的に明らかにすることなどを目的として行われました。
 フランスからはロジャー・フェラーリ仏中等教員組合(SNES)国際部長、ニュージーランドからはイアン・レッキーNZ教育協会(NZEI)全国副会長、韓国からはファン・ヒヨンス韓全国教職員労働組合(KTU)国際局長を迎えました。

 「新自由主義教育を乗り越える教員組合の闘い」と「教員に対する評価の現状と課題…交渉・協議にもかかわって」のテーマで討論を行い、都教組からは、東京に於ける教員評価、指導力不足教員についての現状を工藤書記長が報告しました。
 今後、「CEART勧告」を生かした教育委員会への要請をはじめ、教員内にも「勧告」についての学習運動をすすめていくことで、校長の権限強化と、意に添わぬ教員を学校から排除しようとする攻撃を跳ね返す運動に繋げていくことの重要性が話し合われました。     参考新聞全教374.pdf】

 200964日  初任者の一方的免職は許されない!! 画期的 勝訴判決    大阪高裁
                 「指導力不足」で免職処分2審も 処分取消し(京都市側敗訴) 判決    
 「指導力不足」などと一方的に決めつけられ免職された採用1年目の京都市の男性教諭(36)が、免職処分の取り消しを求めた訴訟で、大阪高裁(赤西芳文裁判長)は、1審京都地裁判決を支持し免職処分の取り消しを命じました。       参考新聞全教No.374.09/0715】
 元教諭は、2004年4月に採用されましたが、試用期間の終わる05年3月末に、事実関係の調査もせず、当人の主張も聞かず分限免職処分されました。
 今回の判決は、京都市の処分理由を「管理職らの原告(元教諭)に対する評価が、客観的に合理性を有するものか否か疑わしい」として退けた1審判決を支持し、更に、使用期間中の教員について「今後、研鑽等に努めて成長していく過程の者」であり市側の理由では直ちに免職の対象にはならないとしています。
 教委側の一方的な価値観を押し付けることで教員や教育を選別評価する権力的な教育行政を進めることで、年々、教員管理強化が図られている教育現場を、少しでも民主的な環境に戻すために意義のある判決と言えます。

 20081029日 CEARTから文科省、都道府県教委へ 
               制度「是正」を勧告する中間報告書(第4次勧告)!! 
全教が提起の指導力不足教員」、「新教員評価」制度問題 11月6〜21日の第303回 ILO理事会、UNESCO執行委員会で承認へ

 CEARTは、全教からの申し立てを受けて「指導力不足教員政策」及び「新教員評価制度」における「教員の地位勧告」違反の審査を進めていましたが、その一環として、 20084月に ILO/UNESCO「CEART実情調査団」を日本に送り込み、日本における「教員の地位勧告」の遵守状況を直接現地調査しました。この度、その報告書がまとまり公表されました。
 その内容は、日本の教員の評価制度は指導力不足の教員の認定の基準があいまいだったり、異議申し立ての機会が与えられていないケースがあるとして、改善が必要だとするものです。
 
 指導力不足教員を教壇からはずして研修を受けさせる制度が、今春から都道府県や指定市の教委に義務づけられました。そして、文科省が作成したそのガイドラインに於いて、「認定」そのものへの不服を受け付けない内容になっていることに関し、同報告書は、「当事者の教員に不服を申し立てる権利を保障するなど、客観的な基準作りや適正手続きの強化」を促し、「制度を作るにあたり、教員団体ともっと誠実に協議や交渉をするよう」勧告しています。なお、文科省は、「国内法の範囲内で精神は尊重したい」としています。

 今回のCEART勧告は、「CEART実情調査団」が文科省・教委から主張・反論を聴取した上でも、これまでの数次に渡る勧告内容を変更しなかっただけでなく、『教員の地位勧告』の遵守をこれまで以上に力強く文科省・教育委員会に勧告しており、画期的な内容になっています。
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  2008/4月の来日調査を踏まえた CEART中間報告書(第4次勧告)('08/10/29)【全文(英).pdf】 【全文訳(和).doc】
  2008/10/30、CEART中間報告書(第4次勧告)を受けて全教・書記長の…【談話.pdf】
  2008/12/17、 CEART中間報告書(第4次勧告)を受けて全教執行委【声明.doc】
 ※ 2009/01/19、 CEART中間報告書(第4次勧告)を受けて全教が勧告遵守文科省に要請【要請.doc】

 2008年10月5日     世界教員の日(10月5日)5機関共同メッセージ
 10月5日の世界教員の日に際し、フアン・ソマビアILO事務局長は、松浦晃一郎国連教育科学文化機関(ユネスコ)事務局長、ケマル・デルビシュ国連開発計画(UNDP)総裁、アン・ベネマン国連児童基金(ユニセフ)事務局長、テュラス・ヌクセシ教育インターナショナル(EI)会長と共同で、教員に感謝の意を表し、その重要性を確認するメッセージを発表しました。
 教員には必要不可欠な役割があるものの、教育界は適切な資格を備えた教員の不足、21世紀の新たな需要に応える質の高い教育の提供という課題に直面しています。
 メッセージは、新たな課題に対処する上で決定的に重要な要素として、より多くの教員採用、十分で適切な訓練、より的を絞った人員の配置と管理、同種の資格を要する他の職業に匹敵する給与とインセンティブ、より良い労働・生活条件、継続的な専門的職業支援、キャリア開発の機会を挙げ、1966年に採択されたILO/ユネスコ「教員の地位勧告」及び1997年に採択されたユネスコの「高等教育教職員の地位に関する勧告」は、このような教員の政策、権利、責任に関し、包括的な手引きを提供していると記しています。

 2008423日  ILO/ユネスコ CEART調査団 来日歓迎 記念集会開催   於:麹町・食糧会館
 ILO/ユネスコのCEART調査団が、42128日の予定で来日し、現在、文科省や教組や識者への対面調査を行っています。(全教や都教組へは4月22日に【ヒアリング】が実施されました) これは、全教が2002年6月に、日本で行われている「指導力不足教員政策」と「新たな教員評価制度」は「教員の地位勧告」に違反するとして申し立てていた件に関しての「現地調査」として行われているもので、ILOによるこうした直接現地調査は、43年前のドライヤー委員会報告以来です。 この訪日調査の結果は今秋のILO理事会に報告されて後、公表される予定です。
 【CEART1st報告書.doc】  【CEART実情調査団の来日】
  【ILO/ユネスコ調査団 来日の経過と意義.pdf】

 2008422日  ILO・ユネスコ共同専門家委員会(CEART調査団 が 来日
                                  全教、都教組・都障教組から事情調査
 全教がILO・ユネスコに申し立てた指導力不足教員問題教職員評価制度の導入の問題で、CEARTは4月21日から来日調査を開始し、22日午後には全教本部、都教組・都障教組から事情調査を実施しました。
 
 CEARTが調査団を派遣するのは前例がなく、全教からの事情調査に先立ちあいさつしたマーク・トンプソン博士は、「精力的なとりくみをすすめる全教に会えてうれしい。今回の調査はCEARTにとっても大きな出来事だ。全教と日本政府からの調査団派遣の要請はILO・ユネスコ『教員の地位に関する勧告』への大きな関心を示しており、賞賛に値する」と述べました。また、「調査結果は委員会に報告し、その報告書の扱いはこの秋にも決定される」と今後の見通しについて説明しました。
 
 事情調査の冒頭、全教の米浦正委員長は、「ILO・ユネスコが調査団を派遣し、問題解決に向け積極的行動に踏み出したことに敬意を表するとともに、調査団の来日を心から歓迎する」とあいさつし、「子どもたちの教育を大切なものと考えるがゆえに、それにふさわしい教員の地位を確立していくべきであるとの精神が盛り込まれた『教員の地位に関する勧告』の適用を監視・促進するCEART調査団が来日することは、子どもと教育の発展にとって大きな意義がある。実績給や報奨給制度は、新自由主義的な教育政策を採用している各国の共通の傾向であり、日本だけでなく諸外国の教職員と教職員組合にとっても価値ある調査活動になることを期待する」と発言しました。
 
 ヒアリングの中では調査団から、教職員組合と教育行政の協議の実施状況、指導力不足教員問題にかかわる文部科学省作成のガイドラインの評価、初任者研修の実施状況、教員評価の方法などについての質問が出され、全教の考えを説明しました。

 20084月下旬(4月21〜28日)来日!!  ILO/UNESCO 合同専門家委員会(CEART)の訪日調査団が、日本の教員評価制度における「教員の地位勧告」の遵守状況を現地調査します。文科省や教組等へのヒアリングが行われる予定です。 参考【CEART1st報告書.doc】   新聞全教No.350 '08/3/20】

 東京都の教育政策 「日の丸・君が代」強制  ILO/UNESCO 「教員の地位勧告違反申し立て
 申し立て書(案) 【申立書・文.doc】【申立書・文.doc】   関連資料【「日の君」を国際基準で裁く】ページ

 2007年88日     ILO/UNESCO CEART教育調査団  訪日調査、年明け以降延期

 2007/5/24 News! ILO/UNESCO 調査団  来春(2008/4月頃) 来日  日本の教育政策を現地調査

 日本の教員の地位勧告」違反を指摘したILO「是正勧告」に対する、日本政府・文科省の度重なる不誠実な態度に業を煮やしたILO/UNESCO教員の地位勧告適用合同専門家委員会(CEART)は,日本に教育調査団を送り込み教育政策の現地調査をすることになりました。これは、42年ぶりのことだそうです。(第298回ILO理事会への報告を経たCEARTより全教への2007/5/28付送付文書)。調査団の派遣は当初2007年秋に予定されていましたが、2008頃になる予定です。
合同専門家委員会(
CEART)は、「教員の地位勧告」の批准国での政府の政策的不履行に対する申し立て(提訴)を受け付け、独自に実施状況を調査し当該政府や関係部署に是正を促す専門監視機構です)
 
   
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 ILO/UNESCO教育調査団日本現地調査するとなっている【CEART1st報告書.doc 全文】クリック

 
2002628日、全教(全日本教職員組合)は、現在行われている日本政府・文科省の「指導力不足教員」政策と「新たな教員評価制度」(人事考課制度等)が「教員の地位に関する勧告」に違反するとして、ILO・UNESCOの合同専門家委員会(CEART)に提訴(申し立て)し受理されました。
 そして、その審理の結果、2003年11月、ILO・UNESCOは、
全教の申し立てを全面的に認め日本政府・文科省「勧告違反」認定し「CEART報告書」(日本政府に対する是正勧告)」が出されました('03/11/11)
。しかし、日本政府・文科省は、「勧告には法的拘束力が無い」、「これは管理運営事項である」として、是正勧告を無視する態度をとり続けています。
 以後、日本政府と全教からの追加情報を踏まえ、2005(h17)年11月や2006(h18)年9月にも「報告書」は出されましたが、その中で、「(
いまだに日本政府・文科省は必要な勧告違反の是正措置をとっていない」と認定しています。

 国際条約や勧告は、「国際基準」とされ、批准国はその基準の達成に向け具体政策的に国内法を整備するなどの「努力義務」があります。しかし、日本は経済大国として、国連をはじめこれら国際機関に多額の分担金を拠出し貢献しているにも拘わらず、こうした国際機関の「研究成果」としての「国際基準」を利用しようとしない「不思議な国」です。つまり、労働者の勤務条件向上つまりは労働コスト高への「達成努力」を嫌っているからに他なりません。
 特に、日本は、ILO(国際労働機関)関係の条約や勧告の批准率が極めて低く、「まだ日本は大丈夫、中南米の紛争国家やファシズムの国で批准していない国があるから」と、皮肉られる程の低さです。(2007年1月現在、ILOは、187の国際労働条約を制定していますが、日本はその内、47しか批准していません('05/8/17時点))。
 また、ILOは、精緻な監視機構を有していて、各国からの申し立てを受けてその内容を審査して条約違反に対しては是正勧告をだしています。この日本の条約批准率の低さは、労働者に有利な条約を嫌い、批准して不履行によるこの「是正勧告」逃れにあるものと見られます。
 つまり日本は、国際協調を大事にする国ではなく独善的であり、国際基準(グローバル・スタンダード)を守りながら社会全体を改善していこうという問題意識を持たない国と見られています。


 労働基本権の剥奪乃至は無視、多方面にわたる異常な職場内差別等々、日本政府の労働政策や教育政策の下で進められる「労働慣行」や「教育慣行」は、国際常識に反するものが少なくありません。
 「教員の地位」に関しても、「社会の平和と進歩のための教育の役割を重視し,その発展のためには「学問の自由」を有する教員が専門職として尊重され、それなりの権限と待遇を与えられ、その自由を保障し、そして、教育政策決定に重要な役割を持たせる」という「勧告」の理念を日本政府は無視し続けています。
 この度のCEART教育調査団の現地調査で、日本の教育政策の犯罪性と後進性が世界に明らかにされることになるでしょう。

 2006110日 「CEART(2nd)中間報告」    日本政府は改善措置をとっていないと認定
 ILO(国際労働機関)とUNESCO(国連教育科学文化機関)の共同専門家委員会(CEART)は、「指導力不足教員」政策や「新しい教員評価制度」をすすめる日本政府・文科省の主張を批判する「中間報告」を策定し、2005年11月にILO理事会から公表されました。
 全教は、この「中間報告書」に対する【全教の見解】を2006年1月16日に発表しています。
 現在、政府・文科省が進めている、教員を「指導力不足」と認定する制度は不公正な認定や、退職に追い込まれるケースも少なくなく、また、優れた業績をあげた教員にだけ昇給・昇格を認める評価制度も大きな問題になっている。
 ILOは、2003年12月に、これらの教員政策・制度について、「教員団体は懲戒問題を扱う機関の設置にあたっては協議にあずからなければならない」とする「教員の地位勧告」(1966年)を遵守していないと認め日本政府に是正勧告を行った。
 今回の「CEART中間報告書」は、前回2003年12月の「CEART報告書」(是正勧告)後の日本政府と全教の「追加情報」を踏まえてまとめられたものです。
 「中間報告書」は、政府・文科省が《これら政策・制度は管理運営事項である》ので「教員の地位勧告」の適用外としていることに対し、「そのような主張を受け容れることは出来ない」とし、政府・文科省は必要な是正措置をとっていないと認定している。
 新たな勧告として、政府と全教が「適切な対話をさらに進めるよう」求めている。


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経過 概要日本の教育政策における「勧告」違反の申し立てこれまでの経過  2009/3/15現在


全教 の 取り組み


☆ …
申し立て
 2002/6/28

 
2002(h14)年628日、全教(全日本教職員組合)は、現在、東京で実施されている「指導力不足教員政策「新たな教員評価制度」(人事考課制度等)は「教員の地位に関する勧告に違反するとして、ILO・UNESCO共同専門家委員会CEART)に申し立て(Allegation)を行い、後日、正式に受理されました。



  「勧告」違反を認定した「CEART報告書」(第次是正勧告)  2003/11/11

 その後、ILO・UNESCO共同専門家委員会(CEART)は、約一年半に及ぶその審理の結果、全教の申し立てを全面的に認め日本政府・文科省(都教委)の教育政策における「教員の地位勧告」違反の事実を明確に認定し、20031111日に、「CEART報告書」(第是正勧告)としてまとめました。そして、ILO理事会の承認を経て同年12月5日に当事者双方に通知されました

 「教員の地位勧告」は、国際的に合意された教員の処遇に関する基準であり、単なる「お題目や参考事項」ではありません。国内政策を進める上での具体的「ガイドライン」です。批准国はこれに沿って国内法の整備に努力することが義務づけられています。
 しかし、日本政府・文科省は、「勧告には法的拘束力が無い」とか、「これらは協議する必要のない管理運営事項である」として、「CEART報告書」(第一次是正勧告)を無視する態度をとり続けています。
 しかし、こうした日本政府・文科省の主張は、既に「同報告書、第12,30項」によって明確に退けられています。
 以後、日本政府と全教からの追加情報も踏まえ、2005(h17)年11月や2006(h18)年9月にも、重ねて「CEART中間報告書」(第二次、三次勧告)が出されましたが、その中で、「
(いまだに)日本政府・文科省は必要な(勧告違反の)是正措置をとっていない」と認定しています。



☆ … 「CEART実情調査団」の訪日調査
 2008/4/21〜28

 「教員の地位勧告」違反を指摘したこの「CEART報告書」(是正勧告)を「無視」する日本政府・文科省(都教委)の度重なる不誠実な態度に業を煮やしたCEARTは、第298回ILO理事会で承認された権限に基づき、「CEART報告書」(第一次是正勧告)をフォローアップするための処置として、
CEART実情調査団を日本に送り込み、教育政策における「同勧告」の適用状況を直接現地調査することになりました。これはCEART史上初めての画期的なことです。そして、同調査団の訪日調査は、全教や日本政府との日程調整の末、200842128日に実施されました。


☆ … 「CEART中間報告書」(第次是正勧告)  2008/10/29

 
訪日実情調査団の調査結果は、20081029日に「CEART中間報告書」(第是正勧告)として公表されました。
 その中では、文科省が作成した指導力不足教員や教員評価制度のガイドラインに於いて「認定」そのものへの不服を受け付けない内容になっていることに関し、日本政府・文科省へ「
当事者の教員に不服を申し立てる権利を保障するなど、客観的な基準作りや適正手続きの強化」を促し、「制度を作るにあたり、教員団体ともっと誠実に協議や交渉をするよう」に具体的な勧告しています。
 そして、文科省が教職員組合を「
教育政策の決定に関与すべき勢力」として認め、また人事考課制度などを「管理運営事項扱いとせず、有意義な協議・交渉を行うこと」の重要性を指摘し、法改正を含め抜本的な教員管理政策の転換を求めています。
 また、「教員の地位勧告」の対象は文科省だけでなく都道府県教育委員会の「両方」であるとしており、「勧告自体は国内法を拘束するものではないとするのが文科省の見解であり、同じ立場をもつ」と反論してきた都教委の見解は斥けられました。
 以上に見られるように、「訪日実情調査団」が文科省や教委からの主張・反論を直接聴取した上でも、文科省・教育委員会に対し
これまで以上に厳しく『教員の地位勧告』の遵守を勧告しています。


 しかし、
文科省は、「(CEARTの勧告において)教員評価と指導不適切教員問題について、文科省や教育委員会が、一定のとりくみについて評価してもらっていると考えている。しかし、一方で、わが国の実情だとか、法制を十分斟酌していないということもあり、それらについては『残念である』『受け入れがたい』と、(ILO理事会〔LILS〕で)意見表明している」とし、これが文科省としての公式な見解であるとしています。
 そして、文科省は、この「教員の地位勧告」や、これまで出された「CEART報告書」(是正勧告)等を、広く国民や教育委員会等に周知していくつもりのないことを表明しています。


☆ … これからの闘い …  2009/〜

 こうした状況の中、全教は、更に、ILO/UNESCOやCEARTの専門的・政策的助言を受けながら日本政府(文科省)に「勧告」遵守を迫る取り組みを継続していきますが、こうした「教員の地位勧告」や「CEART報告書」(是正勧告)の存在を、教員はもとより保護者・国民の間に広く知ってもらう活動を強めています。
 そして、そうした国民運動の高まりで日本政府(文科省)を追い詰め、「強い説得的効果」と「倫理的な権威」をもつ「教員の地位勧告」の遵守・摘要を広げさせ、そうして出来上がる民主的な教育行政環境のもとで、民主教育の発展を強固なものにしていこうとしています。



 2010618日 第308回ILO理事会(ジュネーブ)は、日本の教育公務員に対する文科省の「教員の地位勧告」違反について全労連が2002年に行った申立てを再度取り上げ、2009年6月に続く6度目の中間報告を出しました。



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