花粉症でハナが      

16. 花粉症でハナが 020320


赤フン仕様では長すぎ

 昨日は大変舐めにくかった。たまたま口内炎が出来ていたせいで、毛並みを揃えようとすると舌が痛くてかなわない。いかに洒落者の我が輩とは言え、ぼさぼさの毛並みで我慢する他なかった。たまには不精を気取るのも悪くないと思えばよいか。

 家族の中でも、そうでもないふりをして実の所、一番の猫好きは主人である。留守番で我が輩と二人きりになったりすると、普段そしらぬふりをしているだけに、いてもたってもいられない様子で我が輩を抱えあげてほおずりしたりするのだが、最近は猫(我が輩)の毛が鼻に入るとくしゃみが出るようになり、恨めしそうに遠くから我が輩の方を見るようになってしまった。他にないほど猫好きのあまり猫に過敏になってしまうというのはどういう寓意であろうか。考えるまでもなく、それは寓意(アレゴリー)ではなくアレルギーですが。

 学校へ子供達が行ってしまい、主人が仕事に出かけると奥様は我が輩の相手をしてくれないので一気に暇になり、我が輩はひなたぼっこ。子供達はいつも元気そうに学校とやらにでかけるが、学校が楽しいとはずいぶんと物好きな人たちだ。だけれども、我が輩は物好き、大好きなのであるから大きな事は言えない。

 いそいそと出かける支度をして、我が輩は散歩。ポリシーとして散歩したら何か捕まえる、これ鉄則。くぬぎの木の幹にセミがとまっているのを見つけた。たちまち飛びかかるが、ちょっとの差で取り逃がした。たまにはこんなこともある。類推するに、きっとあのセミは酸っぱいに違いない。いつまでもこんなことにくよくよしていてもしょうがないので、干してある洗濯物とじゃれて遊ぶ。ブランコのようにぶら下がって遊んでいる内に赤い洗濯物は地面に落ちてしまった。退屈がぶり返してきたのでそろそろお家に帰ることにしたい。

 家に上がる前に、泥で汚れた前足を毛づくろい。痛くない、そろそろ口内炎も治りかけているようだ。大丈夫、明日は思う存分毛づくろいができそうである。

 ルートを一周して今日の散歩も終わり、我が輩は昼寝の準備に入り、日向で丸まりうつらうつらとする。ルイ王朝の王侯貴族のように、のほほんと毎日過ごしている我が輩と比べて、さっき取り逃がしたセミは精一杯生きて居るなあ。ああ、のほほん型の生活の猫と比較して、えーとなんと言えばいいだろう。うん、そうだ、シリアス型のセミである。


匿名雑文祭−花粉症でハナが 参加作品
縛り
タイトル:かふんしようではなが(花粉症でハナが)
書き出し:きのうはたいへんなめに(昨日は大変な目に)
文  中:好き、大好き  アレルギー
結  び:あすがたのしみである(明日が楽しみである)
追  加:しりとりにしてみました。
蛇  足:「参加しているような、していないような雜文である。」の続編。


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