ルンルンしながら過ごした春も過ぎ、いつの間にか夏である。るつぼの中で煮えているような熱さである。ルーズにもなろうというものである。
縷々述べてきたが、実は我が輩は飼い猫である。ルゴール液でうがいをしたような声で鳴くので、飼い主の家族からは気味悪がられている。ルックスは良いと我ながら思うのであるが、あまりそういうことで誉められたことがないのである。ルーマニア原産の種らしいのである。ルフトハンザ航空にて祖毋が空輸されてきたのである。
留守番が家族内での私の役割である。留守番は、実は我が輩だけではなく、もう一人いる。ルンペンという名前の犬で、犬の癖に何一つ芸をせずぐうたらしているので名付けられたのである。
留守を守るとき、ルンペンは働かないので、我が輩が働くのである。ルールールールーと電話が鳴ると、家人がいない時には我が輩が受話器をとる。塁に向かって走るルーキーの樣に電話にダッシュし、前足で受話器を電話から外すのである。ルゴール液でうがいしたような声で我が輩が答えると、電話をかけてきた人には、この家は留守であることがわかるという塩梅である。留守を知らせることから、我が輩の名前は「不在」とつけられたのである。
赤ずきんちゃん☆オ〜バ〜ドライヴ(現:赤ずきんちゃん☆ブレイクダウン)主催のしりとり雑文祭参加作品
以下の縛りで書きました。
・句点(。)で区切られた一文でしりとり。
・主人公不在。
・舞台固定。