メハジキ

メハジキは世界中で用いられてきた婦人病の薬草である。
産前、産後の漢方薬として名が有り、中国で1500年代に書かれた有名な本草書 「本草項目」 には子宝の薬草との記述がある。 その為、益母草(やくもそう)とも呼ばれるが、ヨ−ロッパでも洋種メハジキは同じ意味のマザ−ワ−トと呼ばれ、やはり婦人病の薬草となっている。
婦人病以外にも高血圧や腹痛の薬ともなる名の有る漢方薬の一つであるが、このように世界共通の薬草として用いられる野の花には他にカキドオシ、クマツヅラ、ウツボグサ、ノコギリソウ、オトギリソウ等がある。( 「カキドオシは世界の薬草」 「クマツヅラは神聖な花」 「和洋共通の薬草ウツボグサ」 「ノコギリソウと西洋ノコギリソウ」 「オトギリソウの伝承」 の項参照)

シソ科特有の四角い茎と唇形花を持つシソ科メハジキ属の花で、7月から10月の草原や道端にその独特な葉の形で目立つ花である。


和名のメハジキは子供達がこの茎を切ってまぶたに挟んで目を開く遊びに使った事からきている。
古くから日本に自生しており、万葉の時代には土針(つちはり)と呼ばれ、万葉集に 「わがやどに 生ふる土針 心ゆも 思はぬ人の 衣に摺らゆな」 の一首がある。 衣に摺るは染めるという意味で、メハジキの葉が緑色の染料に使われていた事から来ており、 「好きでも無い人の所に行くことはありませんよ(染まってはだめですよ)」 と読んでいる。 

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