ホトケノザ

「セリ ナズナ オギョウ ハコベラ ホトケノザ スズナ スズシロ これぞ七草」・・・・河海抄

1300年代に書かれた有名な源氏物語の注釈書 「河海抄」 の中に平安時代から食べられている若菜についての記載があり、その中に春の七草の記述がある。 ただし、和歌の構成にして 「これぞ七草」 としたのは後世の人である。
この 「河海抄」 の中のホトケノザは現代のホトケノザと思ってしまうが、実際にはこの花ではない事が定説になっている。
料理して食べてみた学者もあり、全く食用にならない事から春の七草のホトケノザは通称タビラコの事であるとするのが今日では一般的になっている。( 「タビラコとオニタビラコ」 の項参照)
しかし、現代でホトケノザと言えばこの花を指す。
春早く、ピンクがかった赤色の小さく可愛い花を付け、青色のオオイヌノフグリ共々早春の散歩道を彩るが、群生すると、遠目にはかってのレンゲ畑を思い出させる程土手や野原を赤紫色に染める。( 「オオイヌノフグリの名の由来」 の項参照)

ホトケノザの花

ホトケノザの群生

この花ほどしたたかな生存戦略を持った花も珍しい。 他家受粉を行う開放花と自家受粉を行う閉鎖花を同時に持ち、又、種の先にアリが好む成分(エライオソーム)を付けアリに種を運ばせる機能を有し、繁殖の為のあらゆる手段を持っている。
その為、現代でもいたるところに咲き、又、11月から12月にかけての冬の頃にも帰り花が群生し、繁栄を謳歌している。

葉が仏様の台座の形をしているのでホトケノザ(仏座)の名があり、又、花が段々に咲く為サンカイグサ(三階草)とも呼ばれる。
古い時代にヨーロッパから渡来した帰化植物と考えられ、四角い茎と唇形花を持ち、シソ科の特徴をよく表すと同時にその強い繁殖機能に驚かされる花で、 近縁にオドリコソウやヒメオドリコソウがある。( 「オドリコソウとヒメオドリコソウ」 の項参照)。

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