タビラコとオニタビラコとヤブタビラコ

オニタビラコ

4月の初旬から中旬にかけて、田、田の畦、道端にタンポポをごく小さくしたような、タビラコと名の付く花々が急激に立ち上がる。
タビラコ、ヤブタビラコ、オニタビラコの三種類があり、タビラコはほぼ田の中や田の畦に限られ、ヤブタビラコは藪や田の畦等に多いが、オニタビラコは道端、川岸等どこにでも咲き、散歩道のいたるところでよく目立つ。

   タビラコ(コオニタビラコ)

 ヤブタビラコ

 オニタビラコ

三者ともキク科の花で同じタビラコの名はついているが、厳密に言うとオニタビラコはタビラコやヤブタビラコとは属が違い別属の花であり、茎も大きく立ち上がり、全体像もかなり異なる。
タビラコ(コオニタビラコ)はかって七草粥に入れられた春の七草(セリ、ナズナ、オギョウ、ハコベラ、ホトケノザ、スズナ、スズシロ)のひとつホトケノザの事であるとされており、タビラコのロゼット状の葉を仏の台座に見立てて、古くはホトケノザと呼ばれたとされるが、真偽の程は不明である。 現代で言うホトケノザはシソ科の全く別の花である。( 「ホトケノザと春の七草」 の項参照)
タビラコの名の由来は葉が放射状に伸び、田に平らに張り付くように這う事から、田平子(タビラコ)となったとされる。 ヤブタビラコは藪(ヤブ)に咲くタビラコの意味であるがタビラコと比べると花びらの数が多く、咲く時期も少し遅い。
オニタビラコはタビラコの葉が無毛であるのに対し短毛が生え、花の一つ一つはタビラコより小さいものの固まって沢山つけ、全体像が大きいのでオニタビラコの名が付けられている。
現代ではタビラコの事をコオニタビラコと呼ぶ事が多いが、キュウリグサの事をタビラコと呼ぶ地方もあるので混乱を避ける為であろうか、あるいは、オニタビラコが良く目に付く為であろうか。( 「キュウリグサとハナイバナ」 の項参照)
タビラコ、ヤブタビラコ、オニタビラコは朝鮮半島、中国等に広く分布し、日本全土で見られるが、散歩道で一番よく目立つのはオニタビラコである。

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