【たゐに】
たゐにいで なつむわれをぞ
きみめすと あさりおひゆく
やましろの うちゑへるこら
もはほせよ えふねかけぬ
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四十八音の「あめつちの詞」と「いろは歌」の間に来る「たゐにの歌」であるが、これを世に知らしめたのは大矢透の『音図及手習詞歌考』ということになるのだろうが、発見したのは実は大矢透ではない。「たゐに」を載せた『口遊』(真福寺本)は、文政四年に、虫食いなども原本通りの体裁に再現して翻刻されており、これを国学者たちが見逃す筈がない。「たゐに」に言及しているのは、大矢透が「あめつち」考では引用している伴信友の『比古婆衣』である。

「あさりひゆく」を「あさりおひゆく」としたのも、伴信友である。