翼の折れたエンジェル (死 その3)


俺の思い出の曲の話である。
「翼の折れたエンジェル」は、中村あゆみ さんの代表曲である。
俺がこの曲に すごく思い入れがあるのは、特別な事情がある。

不慮の事故で 死んでしまった人と一緒に歌った曲だから である。

俺がこの曲と出会ったのは、1985年に発表された 中村あゆみさんのオリジナル曲ではない。もちろん耳にはしていたし、この曲の事も知っていたのではあるが、俺が自分自身の意思でこの曲凄いと気付いたのは、デーモン小暮氏によるカバーで 2007年の「GIRLS’ROCK」 に俺は惹かれた。

・・・・・。

とある日、職場のメンバーとカラオケに行った。
俺は、今までに1度も歌った事もないこの曲を選択した。
しかし、キーが合わないのか何なのか、まったく歌えない。
職場では上司である人が、俺のマイクを取り上げて歌い始めた。そして、俺も それなりに負けん気が強いのか、競い合うように一緒に歌った。

悔しいかな、彼は上手かった。
歌が上手いという訳ではないのかもしれないが、自分の土俵でしっかりとパフォーマンス出来る余裕すら伝わって来た。

そして、なんだか知らないが、彼は死んでしまった。
今では 俺にとっての思い出の曲である。
特別な思い入れのある曲である。
その後、カラオケで この曲を俺はまだ歌っていない。


2012.6.12.


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