雪印食品 その3 (安心安全のイメージ #03')


安心安全のイメージ3 (2002.01.26) で、俺の考えを書いたのだが、今回は小売店の現場で現実に起こっている現象の生レポートである。

ウインナーの試食販売を、昨日と今日の2日間行った。
その現場で、いつもとは違うお客様のお尋ねがあった。それも非常に数多いお尋ねである。繰り返し繰り返し、複数の、老若男女の幅広い層のお客様からのお尋ねである。
その多かったお尋ねというのは、「これって雪印のじゃないでしょうね!?」である。
ちなみに今回の試食販売を行った商品は、雪印食品のものではない。
この内容のお尋ねをされるお客様の傾向として、お尋ねはされるけれども、商品はお買いあげ頂けないという統計上の結果となっている。この商品を買いたいから、お尋ねをされるという訳ではないらしい。


別の話。
匿名にて電話でのお尋ねがあった。いや、お尋ねと言うよりは御意見である。
「私は腹が立ってしょうがない事があるんです。なぜあなたの店では雪印の商品を販売しているんですか?あなた方は何を考えているのですか!?なぜあんなものを売り続けるのですか!?売っていて恥ずかしくないのですか!?」という内容のものである。
ちなみにこのお客様に御指摘を頂いた、当店で販売をさせて頂いている商品というのは、雪印乳業の乳製品の事である。

思想は自由だ。人の数だけ考え方や感じ方、表現の仕方に違いがあって良いと思うし、考え方に違いがある方が自然だ。思想信仰はどんな人でもご自由にどうぞ、である。
自分の思想を他人に伝える時は、少々注意が必要である。自分の信仰している宗教の魅力を他人に伝えようとするならば、それなりの物腰や表現方法が必要だ。

俺が言いたい事はすでに前回書いた。
とにもかくにも思うのは、弱いものいじめが好きな人が多いと感じた事、品質に何ら問題のない商品が売れない事、ニュース報道をよく理解せずにイメージ先行で自分の中だけで完結してしまっている人が多い事、そしてその完結したイメージというのはワイドショー番組等の偏った情報に起因している事が非常に多い事。
そしてお客様の「安心・安全」へのこだわりや願いが非常に強い事をあらためて知らされた事である。これは勉強になった。


余談。
今でも毎日(誇張ではなく本当に毎日である)、牛肉についてのお尋ねを受ける。
そのお尋ねとは、「これって、本当に大丈夫なの!?」である。
語尾に「!」を付けてあるのはふざけているのでも、誇張しているのでもなく、そういうイントネーションでお客様がお尋ねをされるのである。
例えて言うなら、相手を問いつめるような、強い口調なのである。
そういうお尋ねを受けた時の俺の対応は、にっこり笑って穏やかに「大丈夫ですよ。厳しい検査を受けて合格したものしか店頭には並べておりません。安心して美味しい牛肉をお召し上がり下さい。」である。それ以上でもそれ以下でもない。


余談(その弐)
馬鹿らしいと思いつつも、牛肉半額セールを過去に複数回行った。馬鹿らしいと思う理由は、半額で販売すると仕入れ値よりも安い販売価格になってしまうからである。赤字になってしまうのである。適正な利益を得られない商売は商売ではない。
消費者に安全性をアピールするため、とか、メーカー問屋の在庫負担を軽くするためとか、お題目を付けての半額セールの実施である。
半額セールをやるとめちゃめちゃ売れるのである。どのくらい売れるかというと、重量ベースで通常時の約20倍という量が1日で売れてしまうのである。2日間実施すると1ヶ月分以上の量が売れてしまうのである。売れば売るほど赤字だし、作業量が多く忙しいので、本当に馬鹿らしいのだが、とにかくたくさん売れるのである。
半額セールをすると異常にたくさん売れるというこの現実から考察するに、「安全性について不安を抱いているから購入を控える」という考えの人はそんなにはいないと言う事。


余談(その参)
近所の同業他社が2社、撤退を表明した。
今後営業を続けても、どうにも採算が合わないという判断である。
現在そのうちの1社が閉店売り尽くしセールを開催中である。敵状視察に行ったメンバーの報告によると、すごい盛況ぶりだったそうである。通常営業中は閑古鳥が鳴いていた店が閉店セールでは、今までに見た事がないほどのすごい客の入りなのである。皮肉なものである。


世の中、不況であるという話。
たとえどんなに貧しい生活を送る事になろうとも、心までは貧しくならないように。

2002.1.27.


#03 雪印食品 その2 (2002.01.26)
#02 狂牛病 (2001.10.14)
#01 雪印食品 (2000.7.14)




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