狂牛病 (安全・安心のイメージ #02)


狂牛病の報道に関する私見である。

目に見えないもの、得体の知れないもの、自分が理解出来ない未知のもの・・・に対しては人々は不安を抱くものである。
スーパー等で手に入れる事が出来る食品は本当に安全なものなのかどうか、一般の消費者がいちばん知りたい情報はマスコミではなかなか報道されない。
いやね実際には報道されているのだが、伝達される全体の情報量の多さから比べると微々たるものとなってしまっている。では何が報道されているのか。「牛肉は今は食べない方がいい」というイメージである。
生産農家、流通に携わる人々、小売りに携わる人々、安心安全な牛肉が売れなくて迷惑している人々がいる。美味しく安価に食べられるはずの牛肉が手に入り難くなって困っている人々がいる。これを人災だと言う人もいる。風評被害だというテーマで取り上げるマスコミはまだ少数派だ。

「よく判らないから危険だ」と判断する行為そのものが危険であると、俺は強く考える。
よく判らないなら、判るまで勉強しろ。
ただなんとなく周りの意見に左右されて行動を決める自分を恥ずかしいと思え。

でたらめな行政に対しての怒りではない。
英国等EU諸国での過去の教訓をいかせなかった事を嘆いているのではない。
最終的な責任を負うべきはずの、消費者に対してである。

コマーシャルのタレントのイメージだけで商品を選択し、企業が勝手に決めた今年の流行の服を着て、行列の出来る飲食店に足を運び、チャートを賑わせている映画や音楽だけを見たり聴いたりしているだけの人たちの事。
それがこれを読んでくれているあなたではない事を祈りたい。

「テレビで牛肉は危ないって言ってたけど、このお肉は大丈夫なの?などと言う、「私はお馬鹿さんです」と同意語の事をスーパーの店員に問いかける様な人々に対しては、俺はにっこり笑って「大丈夫ですよ」と表面上は答えるが、心の底では猛烈にあなたのことを馬鹿にしている事を理解してもらえているだろうか。
牛肉の売り場の前で「牛肉は危ないから食べない方がいいでー」と周りに聞こえるように大声で話すあなたは、全国で毎日交通死亡事故が起きているから危ないという理由で自動車に乗る人々に対して同じ様に何か問いかけるのか?


O157の感染を防ぐ為にあなたは何か気をつけていますか?
中心温度75度以上で1分間加熱調理すればO157は死滅する事を知っていますか?
生肉を取った箸でそのまま焼いた肉を口に運んでいませんか?


喉元過ぎれば・・・・というのはもう終わりにしましょう。
騒ぎに便乗して、騒ぎをもっと大きくするのはもうやめにしましょう。
騒ぎが終わってしまってから、何ごとも無かったかのように忘れてしまうのもやめましょう。

イメージだけで安心安全を得たかのように満足するのは危険です。
情報は理解すべしと言う事。

2001.10.14.
2012.3.25. (タイトルを修正)


#01 雪印食品 (2000.7.14)





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