下堀沢から焼岳往復ツアー

焼岳は美しいロケーションと適度な斜度、気持ちの良い粉雪が印象的な山でした。距離はそんなに無いので、天気さえよければ十分日帰りが可能です。最高に楽しかった山の一つです。


日時  平成8年2月9日(金)〜11日(日)

行先  下堀沢から焼岳往復

日程と記録

9日(金)アプローチ

20:00 兵庫出発(0km) ===

 雪のために、名神高速道路が通行止めになった。仕方がないので一般道を走ったのだが、滋賀県内の積雪は多く、ついにひどい渋滞に巻き込まれて、ピタリとも動かなくなってしまった。真夜中遅くまでかなり待った後、しびれを切らして、対向車の無いのを見計らって前方の車を追い越していくと、結局先頭のトラックの前はガラガラに空いていた。そのトラックの運転手が雪で狭くなった路上に車を止め、仮眠を決め込んだせいらしく、後ろに数珠繋ぎになった車にとってはいい迷惑だ。

10日(土)上高地まで

=R158= 14:00坂巻温泉(444km)
14:30出発 --- 16:00 釜トンネル上 --- 17:00 大正池付近 幕営 上高地散策

 そんなこんなで、朝から登山を開始するはずが、坂巻温泉到着が昼過ぎになってしまった。仕方がないので今日は上高地まで登って幕営だ。焼岳登山は明日にせざるを得ないだろう。また今回西穂にも登るつもり出来たのだが、それは取りやめだ。坂巻温泉を少し下ったトンネル内に車を停め、歩き始めた。雪がちらちら舞っている。釜トンネル上部のスノーシェルターから垂れてきた蒼氷が美しい。

 大正池の少し下流に架かる橋を越えた右岸にテントを張り、大正池から田代池を巡る散策に出掛けた。雪化粧の上高地は時折ブリザードが吹きすさび、幽玄の世界だった。

 

11日(日)焼岳登山

5:00 起床 朝食 6:00 出発 〜 下堀沢出合7:00 --- 10:30 高天ガ原 --- 12:00 焼岳 〜 13:00 高天ガ原 〜 13:30 下堀沢出合 --- 14:00 大正池付近 テント撤収 14:30  〜 15:00 釜トンネル上 〜 16:00 坂巻温泉 帰途につく
              車 ===  徒歩 ---  滑降 〜

 テントの外に出たとき、まだ明けやらぬ空に月が煌々と照り輝いていた。その下に穂高岳が蒼白く浮かび上がっている。あたりは今日の好天を約束するようにシンと冷たく、静かだ。僕達はスキーにシールを貼り、ゆっくりと深雪を踏む。梓川の右岸を下流に向かって滑ってゆく。中堀沢から尾根を一つ越えて下堀沢に出た。

 下堀沢の右岸にルートがある。取り付きの赤布をすぐに見つけ、とりあえずツボ足で登ってゆくが、かなりの深雪で捗らない。それで傾斜はややきついがシール登高に切り替えた。一息付いた頃穂高に赤い朝日が当たり、モルゲンロートに輝いていた。樹林は適度に間隔があり、特に難渋させられることもなく、気持ちよく高度を上げる。前方の樹間に白い焼岳の姿が浮かび上がってきた。

 徐々に傾斜が緩くなり、樹もまばらになって、高天ガ原に出る。ここからは焼岳が間近に聳え、その一角からは噴煙が上がっている。谷を忠実に詰め、焼岳の肩に立った。そこにスキーをデポしてアイゼンをつけ、登頂にかかる。雪は時々膝くらいまで潜るが、これも何の不安もない気持ちの良い登りだった。

 

 頂上からは乗鞍岳や、焼岳の噴煙を近景に穂高連峰や上高地周辺の山々が白く眩しく立ち並んでいるのを一望できた。楽しい一時を過ごして下山にかかる。スキーデポ地点までシリセード半分で戻って、さあスキー滑降だ。

 

 最初は風で吹き固められたカリカリの雪で、やがて谷に入って少し最中気味の雪になり、何度か転びそうになるが、それもつかの間だ。やがて気持ちの良いパウダースノーを満喫しながら下ってゆく。溶岩が流れて出来た斜面だからか、斜度が適度で長い。そして眼下に大正池を見下ろすロケーションは申し分無い。樹林帯に入ると雪質はいっそう良くなった。フワフワと素晴らしい浮遊感。巻き上げる粉雪が樹間からこぼれる陽光にキラキラ光っている!そして雪面に落ちた樹影の美しさ!

 実に痛快な滑降であった。一ターン一ターンを大切に滑ったが、あっという間に下堀沢出合まで戻ってきた。大正池下流のテン場まで戻り、テントを撤収して林道を滑る。道の雪はよく踏み固められており、スキーがバタバタ振動して制動するのが大変だったが、歩いて下ることを思えばラクチンなものだ。それも20分位で終わり、釜トンネル上部でスキーを脱いだ。坂巻温泉までツボ足で下り、露天風呂で汗を流して帰途についた。


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