立山・剣岳周回ツアー

 私の特に好きな山である剣岳を巡るツアー。裏剣の神秘的な美しさと、これまで経験したことのないような大窓からの長大な急斜面の下りが印象的だった。2日前に降雪があったところだったが、心配したような雪崩もなく、新雪と天候に恵まれた素晴らしいツアーとなった。


日 時  1991年5月5日〜6日

行 先  室堂より雄山、御前谷、内蔵助平、二股、池ノ平、大窓、白萩川より馬場島

日程と記録

5日

 一の越ツェルト泊、夜明けとともに雄山へ向けて登行を開始する。幸い好天に恵まれている。雄山山頂から御前谷への滑降はまぶしいほどの処女雪だ。

   

 あまり高度を下げないうちに丸山の鞍部に向けてトラバースする。少しのアルバイトで鞍部を乗り越し、内蔵助谷を滑降。

   

 内蔵助谷の底で休憩を取り、左手のハシゴ谷乗越へシール登行。剣の八ツ峰1峰が眼前だ。真砂沢出合に向けて滑降。

   

 二股まで下り、北俣を池ノ平に向けて登行を開始。

   

 池ノ平にツェルトを張り、美しい夜明けを迎える。鎧を纏った武者のように凛々しい剣に柔らかい朝陽が投げかけられた。その神秘的な姿にしばらくのあいだ目が釘付けになっていた。

   

 仙人山に登り、仙人池に向けて滑降する。仙人池は完全に雪の下でどこが池かも判然としない。しずかな朝をのんびり過ごす。

   

 再び池ノ平に戻り、小黒部谷に向けて滑降を開始した。

   

 大窓に向けて登行するが、ジグザグを切りながらの登りはかなり時間がかかる。大窓に張り出した雪庇は巨大で、乗越すのが大仕事であった。

   

 白萩川に向けて滑る。足がすくむような急斜面だ。奈落の底に向かって落下するような感覚。そのあまりの長大な急斜面に、下を見るだけで動悸が激しくなる。雪崩も心配だ。懸命に制動をかけながらワンステップずつ下る。

   

 下部は傾斜もゆるみ、ほっと一息ついて、後は鼻歌交じりの下山となった。やがて水が出てスキーを脱ぐ。

  

 馬場島でタクシーを呼び、待ち時間に身支度を整えていると、ジョギング途中の村人とおぼしきジャージ姿の人物にどこから下山してきたのかと聞かれたが、なんと彼は警察官なのだった。実は私たちのルートの一部は剣岳の危険区域にあたり、5月15日までの入山は本来は登山許可が必要なのである。そのことについては特に釘は差されなかったが、私は少しやましさを感じていた。宇奈月温泉に下山。


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