豪雪地帯であるこの頸城の山で、初めて雪洞を掘って一夜を過ごすという体験をした。天候にはあまり恵まれなかったが、さわやかな印象の山だ。
◆日時 平成9年3月29日(土)〜30日(日)
◆行先 戸隠大橋から乙妻山往復
◆日程など
29日(土)
奥社の駐車場で目を覚ますが、天気はすっきりしない。戸隠大橋からスキーにシールをつけて歩き出す。
幕営予定の乙妻山の懐までアプローチした。今回は雪洞の利用を考えていたのだが、あるガイド本で雪洞適地として紹介してあった高度1600m付近ですでに雪洞を作っているパーティーがあり、我々もその少し下に掘ることにした。しかしスコップがピッケルのシャフトにつけて使うアルミのチャチなものだったので、作業はなかなかはかどらない。それに取り付けのための蝶ねじがそれを握っている手袋をぼろぼろにしてしまった。そんな我々の仕事を見かねたのか、隣のパーティーが大きくて頑丈なものを貸してくださった。なんとか出来上がった御殿は広さにおいてはまずまず快適なものだったが、湿度が高く、なんとなく寒々としていた。入り口が生活空間よりも高く、冷気がこもってしまったというのがその反省点だろう。
30日(日)
天気はまずまずだ。隣のパーティと前後して出発する。実はそのとき気づいたのだが、隣のパーティーのリーダーは誰あろうあの築田博さんだった。彼は例のガイド本の著者であり、どおりで雪洞適地の見極めもその掘り方も的確なはずだ。ふと自分たちの不格好な雪洞が恥ずかしくなった。
稜線に出た。乙妻に向かう前に、スキーをデポして、戸隠の最高峰である高妻をめざす。しかし頂上直下の雪壁は急で、雪の状態が不安定に見えたので、登頂を諦めて引き返した。
乙妻方面は高妻とは対照的になだらかで安全な登りだった。頂上からは残念ながらあまり眺望がなく、時々ガスの切れ間に高妻が覗く程度だった。
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下山はほぼ全行程スキーを使うことが出来た。途中雪洞にデポしておいた荷物を回収して大橋林道に向かう。
ススキがにょきにょき延びたゆるやかな雪原を滑る林道スキーはフィナーレとして楽しかった。