乗鞍高原スキー場より乗鞍岳往復

 素晴らしい天気と雪に恵まれた乗鞍岳。陽光と共に滑り降りた最高のワンディツアーでした。


日 時  1991年3月26日

行 先  乗鞍高原スキー場より、位ヶ原、乗鞍岳

日程と記録

 友と2人で夜の間に車を飛ばし、乗鞍高原に着いたのは朝8時頃だった。現地の宿では友人達が一緒にスキーをすべく、待っていてくれたのだったが、幸い天気がいいので、我々は仮眠もとらずにまず登山を開始することにした。

 リフトの最上部からシールを付けて歩き出す。ルートはおそらく林道なのだろうが樹林の間を10メートル位の幅で切り開いてあり、迷いようがないくらいだ。雪面に落ちる樹影が美しい。だが雪質は重く、下りで苦労しそうだ。

 位ヶ原は広く、雪面は緩やかに乗鞍剣ケ峰に続いている。我々は左側の、そこから直接峰に突き上げる尾根を登ることにした。上部になるほど傾斜は増し、エッジを利かせた微妙な登高になってゆく。その途中で我々の後を猛烈なスピードで追ってくる人物に気が付いた。

 

 彼とは山頂付近で一緒になり、ブライアン某という滋賀県在住の外国人画家であることを知った。彼のことは以前NHKが特集していたので、美術を生業とする者として深く印象に残っていたのだが、まさかこんな所で遭遇するなんて!お互いに写真の取り合いをしたが、彼は少しコロナ観測所側へ下った鞍部から一足先に下って行った。

 それにしてもいい天気だ。空気も澄み、随分遠方まで望むことが出来る。我々は頂上でしばらく幸福な気分に浸った後、やはりコロナ観測所側へ少し下るが、あまり高度を下げずに、稜線から谷へ雪が続いている箇所最上部から飛び込んだ。

 

 

 雪面は滑らかでエッジには適度なホールド感もあって、素晴らしい滑降を楽しむことが出来た。位ヶ原で振り返る乗鞍岳は陰影深く、太陽は後光のように山頂上部にあり、そこから降り注ぐ陽光が岳樺の影を手前に長く引いていた。重く滑りにくい林道コースに入ってからも、その光と影の残像が僕の心に深い印象を残していた。

 途中でブライアン氏の帽子を拾ったが、それは今も僕の手元にある。


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