那岐山・滝山ツアー
当時、ほぼ毎年春には氷ノ山をはじめとする地元但馬の山にツアーをしていたが、これもそうした試みの一つで、今回は岡山まで足を延ばしてみたのだった。この山でどこまでスキーが使えるか不明だったので、靴が登山靴の感覚に近く、道具が軽くて荷物にならないテレマークスキーを持って出かけてみた。
◆日時 平成7年3月19日(日)
◆行先 奥ノ本より那岐山・滝山を経て日本原へ
◆記録
昨夜奥ノ本に到着し、那岐大橋を渡ってすぐ右手の林道を少し入ったところに車を止めて寝ていたが、目を覚ますと朝から雪が舞っていた。朝食をとって出発。
なかなかスキーが使えるような積雪がなく、スキーを履いたり脱いだりを繰り返していたが、800mを越えるあたりから安定して雪があった。県境尾根に出ると立木も少なく、さすがに十分白くなっている。稜線は緩やかに那岐の頂きに続いていた。天気は回復に向かっており、青空も覗く。
那岐山の頂上には石碑があり、この側で3人組のパーティーに出会った。彼らはまさかこの山域でスキーを見るとは思っていなかったらしく、驚いていたが、「そういえば蒜山もスキーツアーに良さそうですね。」と勧めてくれた。ここで12時。
石碑のある山頂からスキーを付け、ひと滑りして西南西のピークを目指す。那岐の三角点はこちらにあり、ここからの展望も良い。
さらに西の滝山を目指して縦走を続ける。途中の痩せ尾根でラーメンとオレンジの昼食をとり、ツアーを続ける。尾根は痩せていて左側に雪庇が出来ている。そしてその雪庇の向こうに平野が広がり、町が見えた。その尾根筋を僕は軽いテレマークスキーで飛ぶように駆けた。
14時30分頃、滝山からいよいよ滑降だ。南南東に延びる尾根を滑る。しかし雪質は湿った重い雪で、藪もややうるさく、テレマークではコントロールしにくい。特に止まろうとするときなどは、うまく山回りが出来ずに転倒してしまうことも多かった。その点相棒の山スキーは強引なものだ。気持ちよさそうに回転を続けている。僕は不安定な滑りをつなぎながら、テレマークスキーを選んだことを後悔していた。
15時20分、高度820mで雪が切れ、担ぎで夏道を下るが、ほどなく滝神社に出た。雪解けの清らかな水をほとばしらせる御滝の水でのどを潤し、しばしのくつろぎを楽しむ。ここから下には立派な階段があり、参道が整備されている。
稲荷神社を通過して下りきるとそこは日本原だ。鳥居の前に広い駐車場があり、周辺の観光案内図があった。この奈義町には現代美術館があることが少し気になった。ここでスパッツなどの雪支度を解き、人里に向けて歩き出す。途中、那岐池の水面を覗きながら休憩。ススキの原を町に向かう道すがら、時折ふり返る山々には夕日があったって美しかった。
滝本に出て、国道53号線沿いのスーパーで飲み物を買い、そこからタクシーを呼んで車を停めた林道まで戻った。