野伏ヶ岳ツアー

 野伏の名前が挙がったのは相棒の口からであった。僕は白山には何回か通ったが、比較的関西に近い山域であるにもかかわらず、あまり美濃の山を知らないことに気づき、そのプランに賛成した。ここもやはりかなり寡雪だったが、数日前に降った雪が残っていたようで、結果的にはスキーをフルに使った楽しいツアーをすることが出来た。そして何と言っても山頂からの雄大な展望は特筆に値する。1674mの山とは思えない超一級のパノラマがそこには展開されていた。

野伏ヶ岳GPS軌跡OOMAE版

野伏ヶ岳GPS軌跡(CG作成 OOMAE氏、クリックすると拡大します)

野伏ヶ岳ルートマップ

野伏ヶ岳ルートマップ


日 時  1998年3月29日(日)

行 先  上在所から野伏ヶ岳

日程と記録

28日(土)

19:00兵庫出発(0km) ==みのしろとり(325km)

29日(日)

=R156= ほくのう(333km) == 1:00上在所(346km) テント泊
8:00起床 9:00出発−−10:20和田山牧場−−13:00野伏ヶ岳頂上‥‥15:00上在所

 白山中居社付近の河原が駐車場になっており、そこからスキーは担ぎで出発する。静かな林間の登行である。アプローチの林道には初めは雪の気配さえなかったが、1時間ほど登るとやがて切れ切れに雪が現れ始めた。和田山牧場にて何度か雪と地道の通過を繰り返すうちに雪がつながり始めたのでシール登行に切り替えた。3度ばかりシールで地道を踏むことになったが、まあそれはよくあることだ。

 しかしそれにしても気になることが一つ出来てしまった。実はさっきの休憩の後、荷物を担ぐときにベルトが外れて時計を落としてしまったようなのだ。コンパスや高度計の付いた登山向きのやつで、3年ほど前に一万数千円した時計だが、取りに戻るにはもう随分高度を稼いでしまった。往路を戻るから下山したときにそのままそこにあるか、心有る人が樹の枝にでも掛けておいてくれたらよいが・・・。

蛇行した小川 和田山牧場は広々として気持ちのよいところだった。ここまで来ると辺りは一面真っ白になっている。雪原の向こうに見えるスッキリしたピラミッド型の山が野伏ヶ岳だ。しばらく休憩をして、左前方の頂上へ突き上げる尾根に向かう。この尾根の登行は広い牧場を見下ろして気持ちがよかったが、特にそこを流れる蛇行した小川が印象的だった。

 山頂は10名を超える登山者でかなりの賑わいだった。そしてそこに開けた展望の雄大さはどうだろう!1500m程度の山々が中心だが、そうした山並みが途絶えることなく遠方へ続いている。この山域が如何に山深いかを実感させられた眺望だった。

薙刀山方面 しばらく登頂の充実感と、次第に汗が引いてゆく壮快感を味わっているうちに、後方から「どなたか時計を落とされた方ありませんか?」と言う声がした。あっ、それは僕のことだと思って振り返ると、そこにはまだ荷物を担いだままの到着間もない登山者があえぎながら立っていた。有り難い、後光が差している。ほとんど諦めかけていた時計が僕のもとに戻ってきた。こいつは一生モノかもしれない。今度はもっとしっかりしたベルトを付けてやることにしよう。

野伏のピークで 登路の尾根上はやや雪が薄く、下山する人々は左側の沢に向かって滑って行く。休憩の間にそれを見ていた我々も、同様に沢を滑りかけたのだが、気持ちよく滑っているうちにいつのまにか左手の尾根に迷い込みかけているのに気が付いた。あわてて少し登り返して右手の登路の尾根にトラバースをする。しかし横切る沢はかなり急斜面で心地が悪いので、雪崩れないように一人ずつスピーディに通過した。尾根の滑降は雪が豊富にあればもっと楽しかっただろうが、雪をつなぎながらまずまず快適なダウンヒルを楽しめた。

 和田山牧場の平坦なコースでは、ピーカンの中スキーを漕いで行くうち汗まみれになってしまった。牧場の末端、林道の入り口で多くの登山者が休憩していたが、僕達もそこに混じって汗を拭く。そして再びスキーを掃いて滑降を続けるが、そこで休憩していた登山者達は皆ツボ足だったので、僕達を羨ましそうに見送っていた。僕達もそこから下部はそんなに長距離を滑れたわけではなかったが・・・。

16:00上在所 == 帰途につく
         (車 ==  徒歩 −−  滑降 ‥‥)


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