クラシックファンにとってのデジタルマルチ |
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最高品位では100kHzに及ぶ広帯域と24bit相当の高密度な音は
じつに自然な音楽を聴かせるフォーマットである。実際にサウンドセラピーで使うと
α 波が増えるそうで、人間の感性は正直である。この大容量の器は懸案の音場再生にも利用され始めた。市販ソフトの大半を占める5.1chマルチチャンネル盤である。 |
5.1chのスピーカー配置はホームシアターとほぼ同じで、前方の左右、後方の左右、前方センター、それにサブウーファーの計6台となる。同一機種で揃えるとベストだが、現用装置を発展させたので、前方2chはQUADのコンデンサー型、サブウーファーはヤマハのYST-SW1000をそのまま使用。後方と中央にソフトドーム系の中型を3台追加した。混成部隊だが、どれもヨーロッパ製で
私好みの音質に統一してあるから違和感はないだろう。 |
AVアンプを使わずに2ch盤を5.1ch化する |
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リアスピーカーから出す間接音や残響成分は
2ch盤では逆位相で、L,Rの差成分として入っている。この位相差信号
L−R(R−L)を取り出して鳴らせば、リアから間接音が出る。接続方法は左図のように、スピーカー端子のLとRの+側をまたいでつなぐ。スピーカーマトリックスと呼ばれる方法で、一般的な8Ω位のスピーカーならアンプへの影響もない。 |
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この方法の良いところは あとで創った残響ではなく、元から入っている音を取り出して鳴らすことである。従って、リアの鳴り方は盤によってさまざま。LPレコードでは、音溝がザラザラして光らない部分が逆相成分の多い箇所であり、リアが盛大に鳴る予測が立つのだが、CDの盤面では何もわからない…かけてみてのお楽しみである。 |
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センタースピーカーの重要さや接続方法については、ステレオの初期から、多くの人が論じてきた。左図は高級ホーンシステムで有名だったP.Klipschが提唱したセンターch用のネットワークである。左右chにレベルを下げる抵抗が入っているが、現在、クリプッシュホーンのように極端な高能率スピーカーを使わない場合は省略できる。 |
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センターchの効能は前項でも述べたが、古い録音にも非常に有効である。 |
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サブウーファーは専用の製品なら、左右合成やハイカット回路、アンプを内蔵していて、指示どおりつなぐだけだが、そうでない製品を使う時は、コンデンサーと抵抗でCRフィルターを組んで、メインアンプにつなぐ(*1)。 |
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サブウーファーが1台だけということは、あまり高い周波数まで出すと、明らかに空間の歪みが感じられる。安易な5.1ch製品には、100Hz以上でクロスするものもあって、それに慣らされていると、生の演奏会で音場感の違いに驚かされることになる。しかし、良質のスーパーウーファーを適切な使用法で加えた時は、低域の量感だけでなく、中高域までしなやかに変化することに気づくはずである。
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最近の新譜ではないが、鬼太鼓座の「怒涛万里」(ビクター VIAG-60001)というDVD-Aを聴いた。5.1chは96kHz/24bit、2chもダウンミックスではなく、別グループに最上位規格の192kHz/24bitで収録した良心的な盤である。マルチによる豊富な情報量か、100kHz迄の最高品位の音質か、適宜 好みで聴き分けられる。本来、DVD-A規格は こんな贅沢ができるところが魅力なのである。 |
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大容量メディアなのだから、マルチch盤にも、同時に最高の2chを収めることを発売当時のコラムで要望したが、現状ではジャズ、フージョンが数枚だけ、クラシックでは皆無と言ってよい。 |