「はじめに」から引用する。
本書を一家に一冊備え、家族で将棋が指せて、駒落ちでいい勝負が楽しめるように、目的に応じて皆さんで活用していただければ、著者として最上の幸せです。
八枚落ち、六枚落ち、四枚落ち、二枚落ち、飛香落ち、飛落ち、角落ち、香落ちの定跡が解説されている。
八枚落ちでも高度だ。以下、図面で説明する。
図 1 はp.19 の第4図である。下手の指し手は次のように解説されている。
☖5四金 ☗3四金 ☖3二銀 ☗3三角成
ここで☖5四金のあとの☗3四金や☖3二銀のあとの☗3三角成が浮かぶ人は、相当強い人である。駒落ちとはかくも残酷なものなのか。
二枚落ちの二歩突き切り定跡では、上手が絶妙なタイミングで☖6六歩と突く手がある。花村元司「よくわかる駒落ち」では☗6六同角と取る手を推奨し、
先崎学「駒落ちのはなし」では☗6六同歩と取ることを勧めている。本書では、局面によって☗6六同歩だったり(pp.109)☗6六同角だったり(pp.116-117)している。
もっとも、後者の☗6六同角を推奨している局面でも、☗6六同歩でもじっくり指すのが好みなら参考C図の順を選ぶのも良いでしょう。
といっているので、
まずは☗6六同歩を検討するのがよさそうだ。
二枚落ちの銀多伝定跡では、上手が☖8五金として先手の7六にある歩を取るぞという手が出てくる。通常の銀多伝定跡では7六の歩は取るにまかせて、
実際に☖7六金と取られたときに☗7八金と守る。花村元司「よくわかる駒落ち」では、☖8五金に対して☗7八飛と守る手を紹介しているが、先崎学「駒落ちのはなし」ではこれはない手だとしている。
どちらが正しいのか、ここでも意見が分かれているが、本書では上手が7六にある歩を取る形のみを解説している。ただし、☖8五金に☗7八飛(参考図)と歩を守っても一局です。
という一文のみある。
盤面表示および棋譜再生には、marmooo さんの KifuViewer を用いている。marmooo さんに感謝する。
書名 | 【新装版】駒落ち定跡 |
著者 | 所司和晴 |
発行日 | 2023 年 4 月 30 日 初版第一刷 |
発行所 | 日本将棋連盟 |
販売元 | マイナビ出版 |
定価 | 2800 円(本体) |
サイズ | |
ISBN | 978-4-8399-8346-8 |
まりんきょ学問所 > 将棋について > 将棋に関する本 > 所司和晴:【新装版】駒落ち定跡