分散分析の中で、多元配置モデルを取り上げる。多元配置とは、要因(因子、特徴、カテゴリー)が2つ以上ある場合を指す。 本ページでは繰返しのある 3 元配置モデルと繰返しのない 3 元配置モデルとについて説明する。
文献[1] にある p.100 「表 7.3 データ」の数値を用いている。ただし配置が違うので注意されたい。p.99 例 7.1 の記述から引用する。
ある電子部品の特性を向上させるため,因子として焼成時間 `A` を 3 水準,主原料の納入メーカー `B` を 2 水準,添加物の種類 `C` を 2 水準設定して, 繰返し数が 2 の繰返しのある 3 元配置実験を行った.`3 times 2 times 2 times 2 = 24` 回の実験はランダムな順序で実施して、表1.1 の測定値を得た.解析せよ。
文献[2]に従い AIC により解析する。モデル `O/` はどの因子も考慮しないモデル、モデル `A` は因子 `A` のみを考慮するモデル、…、などとする。主効果のみを考慮すると、 それぞれのモデルのうち最も AIC が小さいモデルは `B,C` であるから、主効果として `B, C` をとればいい。なお、計算の都合で交互作用は考慮しない。
伝統的な分散分析による手法を示す。各因子による主効果と2次の交互作用について分散分析表を作成する(表1.2)。主効果 B と C は高度に有意(1 % 以下)であり、 交互作用 `A times B` は有意(5%以下)である。他の効果・作用については、`A times C` と `A times B times C` の `V` が 誤差の `V` より小さいことからプールしてよい。 `A` をプールしないのは、交互作用 `A times B` が有意であるからだ。`B times C` をプールしないのは、文献 [1] には書かれていないが この `V` が e の `V` より大きいからだろう。 なお、プール後の分散分析表は省略する。
因子`A`の水準 | 因子`B`の水準 | 因子`C`の水準 | 測定値 |
モデル | 自由パラメータの数 | `hat sigma^2` | AIC |
---|
因子 | `S` | `phi` | `V` | `F_0` | `P` |
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文献[3] の p.45 例題 2.4 にあるデータである。問題文は省略する。繰返しはない。
文献[2]に従い AIC により解析する。モデル `O/` はどの因子も考慮しないモデル、モデル `A` は因子 `A` のみを考慮するモデル、…、などとする。
伝統的な分散分析による手法を示す。各因子による主効果について分散分析表を作成する(表2.3)。なお、繰返しの測定がないので、3 因子交互作用は求められない。
因子`A`の水準 | 因子`B`の水準 | 因子`C`の水準 | 測定値 |
モデル | 自由パラメータの数 | `hat sigma^2` | AIC |
---|
因子 | `S` | `phi` | `V` | `F_0` | `P` |
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左列、中央列、右列のそれぞれについて説明する。因子数は 3 に限定している。
左列では、データ入力欄に適切な形式でデータを入れる。形式は1行1データ形式であり、 1データには、目的変数の値、因子 `A` の水準`(1, cdots, a)`、因子 `B` の水準`(1, cdots, b)、 ` 因子 `C` の水準`(1, cdots, c)` の順に、空白を間に入れて並べる。 例題 1 のボタンをクリックすると、この形式に従った 例題 1 のデータがデータ入力欄に挿入される。 [計算]ボタンをクリックすると、繰り返しのある二元配置モデルのための AIC 表と分散分析表が作成される。
中央列は AIC 表である。AIC の値が最も小さなモデルが最も適したモデルであるという結論である。たとえば、`MODEL(A, B)` の値が最も小さいのであれば、 因子 `A` と因子 `B` の双方を考慮するモデルがもっとも適している、という結論が得られる。 なお、AIC では交互作用は考慮していない。
右列は分散分析表である。`P` 値が 0.05 以下であれば、5 % 水準でその因子が棄却される、すなわちその因子が有意である、 という結論が得られる。プーリングはしない。
データ入力
モデル | 自由パラメータの数 | `hat sigma^2` | AIC |
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因子 | `S` | `phi` | `V` | `F_0` | `P` |
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