はしがきから引用する :
この本を読み終えられた読者が,位相空間という抽象的な建造物の中にひそむ柔らかな感触を, 少しでも感じ取ってもらえるならば,私としては嬉しいことである.
「第 8 講 連続性と開集合」p.59 から引用する。
(前略)結局 `f(x)` で `x = a` が連続であることは,次のようにいい表されることがわかる.
どんな正数 `epsilon` をとっても,ある正数 `delta` が存在して
`abs(x-a) lt delta rArr abs(f(x) - f(a)) lt epsilon`
が成り立つ」(後略)
著者は、上記の言い方で`epsilon-delta ` 論法を使っているが、実は「微分・積分 30 講」では、
少しわかりにくい点がある
といっている。でもわかりにくくても使ってしまうのは、簡略化されているからなのだろう。
「第 14 講 近傍と閉包」の p.102 から引用する。
【定義】部分集合 `S` に,`S` の集積点をすべてつけ加えて得られる集合を,`S` の閉包といい, `bar(S)` で表わす.
すなわち,`bar(S) = S uu {S` の集積点`}` である.
なぜここを引用したかというと、のちのページで集合 `S` にたいして `bar(S)` という記法がが出てきて、これと `S` の関係がわからなくなってしまったからだ。
「第 19 講 コーシー列と完備性」p.138 から引用する。
【定義】距離空間 `(X,d)` において,任意のコーシー列が,必ずある点に収束するとき,`X` を完備であるという.
ここでは、必ずある点に収束するとき
というのは、《必ず `X` に含まれるある点に収束するとき》とことばを補う必要があるだろう。
「第 20 講 完備な距離空間」p.142 から引用する。
一般に,`X` の部分集合 `S` は, `bar(S) = X` をみたすとき,稠密であるという.この言葉を用いれば,ベールの性質とは,可算個の稠密な開集合が与えられたとき, その共通部分もまた稠密である,と述べることができる.
ここではベールの定理やベールの性質が解説されている。このベールの定理は、難しい。
書名 | 位相への 30 講 |
著者 | 志賀 浩二 |
発行日 | 1988 年 9 月 10 日 初版 第 1 刷 |
発行元 | 朝倉書店 |
定価 | 2500 円(本体) |
サイズ | A5 判 187 ページ |
ISBN | 4-254-11479-6 |
備考 | 草加市立図書館にて借りて読む |
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