曲線のカタログ

作成日:2013-01-23
最終更新日:

目次

おそるべき曲線

私が小さいときは、まっすぐな線が引けず、いつも線はぐにゃぐにゃとしていた。 そのうち、ぐにゃぐにゃした線は曲がった線となり、そしてまっすぐな線となった。

算数で学んだまがった線の最初は円であった。そして数学では円が式で表されることを知った。さらに、式で表される曲がった線には、放物線をはじめ、 双曲線や楕円が付け加えられた。

曲線の形を学んだだけで数学が終わることはなかった。曲線と直線で囲まれた面積を求めよとか、曲線を軸の周りに回転させたときのの体積を求めよとか、 いろいろな計算が雨あられと降ってきた。計算だけでない。曲線も多様になってきた。多項式の曲線だけでなく、三角関数、指数関数、対数関数が出てきて、 さらにパラメータつき曲線や、陰関数表示の曲線まで出てきた。

曲線の名前付け

ここで動物図鑑や植物図鑑のように、曲線の形とその名前をつけたカタログを作ってみたいと思った。

曲線のカタログ

せっかくなので、いろいろな曲線を列挙する。 取り上げる曲線は、当初は寺田文行らによる演習微分積分 に掲載された曲線だった。その後、無節操に付け加えて現在に至っている。なお、森口繁一・宇田川銈久・一松信:数学公式Ⅰにも、 多くの曲線のグラフが描かれている。

名称にはかっこ書きでエスペラント(エス)と英語(英)でつづり字を示した。

カテナリー

密度が均一な縄の両端を同じ高さで固定すると、たわんだ縄の形はカテナリー(エス:kateno, 英: catenary)となる。 日本語では懸垂線という。 このときの関数は、
`y = 1/2 (exp(x/a) + exp(-x/a))`
となる。
右図は `a=1` としている。

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サイクロイド類

広い意味でのサイクロイドとは、 円(円盤、円板)がある曲線(直線・円を含む)にそって滑らないように回転させるとき、 その円(円周)上の定点が描く軌跡として得られる平面曲線をいう。 サイクロイドを拡張した曲線がトロコイドである。 狭い意味でのサイクロイドは次の項を参照。

サイクロイド

(狭い意味での)サイクロイド(エス:cikloid, 英:cycloid)とは、定直線に沿って円が滑らずに回転するときの円周上の定点の軌跡をいう。 日本語では擺線(はいせん)という。擺には、ならべる、ふるう、振り落とす、ひらくなどの意味がある。
サイクロイドのパラメータ表示は次のとおりである:
` {(x=a(theta - sin theta)) ,( y=a(1 - cos theta)) :}`
右図は `a=1` の場合を示している。

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外サイクロイド(エピサイクロイド、外擺線)

半径 `a` の定円に外接しながら半径 `b` の円が滑らずに回転するとき、 回転円の円周上の定点の軌跡を外(がい)サイクロイド (エス:epicikloid, 英:epicycloid)という。 日本語では外擺線(がいはいせん)という。
媒介変数表示では
` {(x=(a + b) cos theta - b cos ((a + b) / b theta)) , (y= (a + b) sin theta - b sin ((a + b) / b theta)) :}
` となる。
右図は、`a = 1.0 、b = 0.2 ` の例である。
`a` = `b` のときはカーディオイドになる。 `a = 2b` のエピサイクロイドはネフロイドと呼ばれる。

ネフロイド

外サイクロイドの方程式で `a = 2b` とした曲線はネフロイドと呼ばれる。 直交座標表示では次の通り。
`(x^2+y^2-4a^2)^3 = 180a^4y^2`
媒介変数表示では次の通り。
` {(x=3a cos theta - a cos {:3 theta:}) , (y= 3a sin theta - a sin {:3 theta:}) :} `
右図は、`a = 0.5 ` の例である。 ネフロイドの名前は、腎臓を意味する古典ギリシア語に由来する。

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内サイクロイド

定円に内接しながら円が滑らずに回転するときの円周上の定点の軌跡を内(ない)サイクロイド (エス:hipocikloido、英:hypocycloid)という。 日本語では内擺線(ないはいせん)という。
パラメータ表示は次のとおりである。
` {(x=(a - b) cos theta - b sin ((a - b) / b theta)) , (y= (a - b) sin theta - b cos ((a - b) / b theta)) :} `
右図は、`a = 1.0 、b = 0.2 ` の例である。
図形においてとがった点(曲線に沿って走る動点がそこで向きを逆転するような曲線上の点) を尖点(エス:kuspo, 英:cusp)という。 内サイクロイドの特別な場合がデルトイドアステロイドである。

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デルトイド

三尖点の内サイクロイドをデルトイド(エス:deltoido, 英:deltoid)という。日本語では三芒形(さんぼうけい)または三尖形(さんせんけい)という。
直交座標表示では次のとおりである。
` (x^2 + y^2)^2 + 18 a^2 (x^2 + y^2) - 27a^4 = 8a(x^3 - 3xy^2)`
パラメータ表示では次のとおりである。
` {(x=(b - a) cos theta - a cos ((b - a) / a theta)) , (y= (b - a) sin theta - a cos ((b - a) / b theta)) :} `
ここで `a` は転がる円の半径、 `b` は固定された円の半径である。
図では `a = 0.5, b = 1.5` としている。

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アステロイド

四尖点の内サイクロイドをアステロイド(英:astroid)という。 日本語では星芒形(せいぼうけい)という。 式は次のようになる。
直交座標表示:` x^(2/3) + y^(2/3) = a^(2/3) `
パラメータ表示:` {(x = a cos^3 theta),(y = a sin^3 theta):}`
右図は `a = 1` の場合である。 なお、アステロイドを特別な場合に含む曲線にラメ曲線がある。

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トロコイド類

(広い意味の)トロコイド(エス:Troĥoido, 英:trochoid)とは、 円(円盤)をある曲線にそって滑らないようにころがすとき、 その円(円盤)の内部または外部の定点が描く軌跡として得られる平面曲線をいう。 定義からわかるように、トロコイドにおいて定点を円周上におくとサイクロイドが得られるので、 サイクロイドはトロコイドの一種と考えることができる。

狭い意味でのトロコイドは次の項を参照。

トロコイド

(狭い意味の)トロコイドとは円を直線にそってすべらないように転がしたとき、 その円の内部または外部の定点が描く曲線をいう。 余擺線(よはいせん)とも呼ばれる。
トロコイドは、パラメータ `theta` を用いると次のように表される:
` {(x=a(theta - k sin theta)) ,(y=a(1 - k cos theta)) :} `
で表される。`a` は転がす円の半径、`ka` は円の中心と定点の距離であり、`k lt 1` のとき内部、 `k = 1` のとき円周上、`k gt 1` のとき円の外部となる。
`ak = b` とおくと、次の式となる。
` {(x=a theta - b sin theta) ,(y= a - b cos theta) :} `
`k lt 1` のとき(`a lt b` のとき)は、`x` 軸と交わらない。 右の図は `a = 0.5, b = 0.25` としている。 `k = 1` のとき(`a = b` のとき)、サイクロイドになる。

外トロコイド

トロコイドで転がすための固定図形を線ではなく円にしてみよう。 固定円の外に転がす円があるとき、 その転がす円の固定位置(円の内外を問わない)で描かれる図形を外トロコイド(エス:epitroĥoido, 英:epitrochoid)と呼ぶ。
外トロコイドを表す式は次のとおりである。固定円の半径を `R`、転がす円の半径を `a`、 円内外の固定点と転がす円の中心の距離を `b` 、パラメータを `theta` とする(`theta` は極座標の偏角とは異なる)。 これらを用いると次のように表される:
` { (x= (R + a) cos theta - b sin((R + a)/a theta) ) , (y= (R + a) sin theta - b cos((R + a)/a theta) ) :} `
図は、`R = 3, a = 1, b = 0.5` の場合である。

内トロコイド

外トロコイドとは逆に、 固定円の内に転がす円があるとき、 その転がす円の固定位置(円の内外を問わない)で描かれる図形を内トロコイド(エス:hipotroĥoido, 英:hypotrochoid)と呼ぶ。
内トロコイドを表す式は次のとおりである。固定円の半径を `R`、転がす円の半径を `a`、 円内外の固定点と転がす円の中心の距離を `b` 、パラメータを `theta` とする(`theta` は極座標の偏角とは異なる)。 これらを用いると次のように表される:
` { (x= (R - a) cos theta + b sin((R - a)/a theta) ) , (y= (R - a) sin theta - b cos((R - a)/a theta) ) :} `
図は、`R = 5, a = 3, b = 5` の場合である。
`R = 2a` の場合は、内トロコイドは楕円になる。

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カッシーニの卵形線

カッシーニの卵形線(英:Cassinian oval)は、次の式で表される。
陰関数表示:` (x^2 + y^2)^2 - 2 b^2(x^2 - y^2) - (a^4 - b^4) = 0 `
直接表示: `y = ±sqrt(sqrt(4b^2x^2+a^4)-x^2-b^2)`
`a` と `b` の大小関係で、次のように形が分かれる。:
`a gt b` のとき、1つの閉じた曲線となる(右上図参照)。
`a = b` のとき、∞ の字のような曲線となる(右上図および右下図青い曲線)。 これはレムニスケートである。
`a lt b` のとき、2つの閉じた曲線となる。この閉じた曲線が卵型に似ているため、 卵形線の呼び名がある。

ジョヴァンニ・カッシーニは、土星の4つの衛星を発見したことで知られている。

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レムニスケート

一般にレムニスケート(エス:lemniskato 、英:lemniscate)といえば、ベルヌーイのレムニスケートを指す。他には、ゲロンのレムニスケートがある。 英語版 Wikipedia のレムニスケートの記事によれば、lemniscate の語はラテン語 "lēmniscātus" に由来し、これは「リボンで飾られた」 という意味であるという。日本語では連珠形という。

ベルヌーイのレムニスケートは、次の式で与えられる曲線である
直交座標系:` (x^2 + y^2)^2 - 2a^2(x^2 - y^2) = 0 `
極座標系:` r^2 = a^2 cos (2 theta) `
パラメータ表示: ` {(x= (a cos theta) / (1+sin^2theta)) , (y= (a sin theta cos theta)/(1+sin^2theta)) :} `

右の図は `a = 1.5` としている。 レムニスケートは、カッシーニの卵形線の一種である

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正葉線と副葉線

デカルトのホリアム

デカルトのホリアム(英:folium of Descartes)と呼ばれる曲線は、 (デカルトの)正葉線 とも呼ばれる。 folium とはラテン語で「葉」の意味である。
直交座標系:`x^3 + y^3 - 3 a x y = 0`
パラメータ表示: ` {( x= (3at)/(1+t^3) ) , (y= (3at^2)/(1+t^3) ) :} ( t != -1)`
上記で `t = (1+s)/(1-s)` とさらに変換すれば、`t = -1` での特異性を回避できる。
` {( x= (3a(1+s)(1-s)^2)/(2(1+3s^2))) , (y= (3a(1+s)^2(1-s))/(2(1 + 3s^2)) ) :} `
(参考:http://shochandas.xsrv.jp/curve/seiyo.htm)
右の図は `a = 1` としている。図形描画は `s` に変換した式を用いている。

副葉線

準備中


ストロフォイド

ストロフォイド(英:strophoid)は、葉形線とも呼ばれる。
直交座標系:` (x + a)x^2 + (x - a)y^2 = 0` .
パラメータ表示: ` {(x = (a(t^2 - 1))/(t^2 + 1)), (y = (at(t^2 - 1))/(t^2 + 1)) :}`
右の図は `a = 1` としている。


シッソイド

古代ギリシアの幾何学者であるディオクレスが研究したことで有名な曲線がシッソイド (英:cissoid)であり、 シソイドとも発音される。日本語は音訳に近く、疾走線と呼ばれる。
直交座標系:` x^3 + (x - a)y^2 = 0`
パラメータ表示:` {(x = at^2/(1 + t^2)), (y = at^3/(1 + t^2)) :} `
右の図は `a = 1` としている。

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(パスカルの)リマソン

パスカルのリマソン(エスペラント:Heliko de Pascal、 フランス語:limaçon)は、日本語では蝸牛線と呼ばれる。
直交座標系:`(x^2 + y^2 - ax)^2 = b^2(x^2 + y^2)`
極座標系:` r = a cos theta + b`
パラメータ表示:`{(x = a cos^2 theta + b cos theta), (y = a cos theta sin theta + b sin theta) :}`
`a=b` の場合はカーディオイドとなる。
右図で青の曲線は、`a =1, b = 2` の場合、緑の曲線は `a = 2, b = 1` の場合である。
緑の曲線は日本電信電話株式会社のロゴマークに似ている。 昔は電電公社と言われていたので、でんでんむしむしカタツムリ→蝸牛線、 となったのではないかという面白い説がある。

カーディオイド

カーディオイド(カージオイド)(エス:kardioido, 英:cardioid)は、 日本語では心臓形と呼ばれる曲線である。 リマソンの特別な場合であるとともに、 外サイクロイドの特別な場合でもある。
直交座標系:`(x^2 + y^2)(x^2 + y^2 - 2ax) = a^2 y^2`
極座標表示:` r = a(1 + cos theta) `
パラメータ表示:`{(x = a (1 + cos theta) cos theta), (y = a (1 + cos theta) sin theta) :}`
となる。右の図では `a = 1.5` とした。


円錐曲線

放物線、楕円、双曲線を合わせて円錐曲線という。

放物線

放物線(エス:parabolo, 英:parabola)の解説は不要だろう。通常放物線は `y = x^2` の形で扱うが、 今回は次の形で紹介する。
直交座標系:` (x + y - a)^2 = 4xy `
パラメータ表示:`{(x = t^2 + t + a/4),(y = t^2 - t + a/4) :}`
右の図は `a = 1` としたときの図である。 なお、直交座標系を` sqrt(x) + sqrt(y) = sqrt(a) `で表すと、`x , y, a ge 0` という条件がつくため、 グラフの範囲が `0 le x, y le a` となることに注意。

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楕円

楕円(エス:elipso, 英:ellipse)の解説は不要だろう。
直交座標系:` x^2 / a^2 + y^2 / b^2 = 1 `
パラメータ表示:`{(x = a sin t),(y = b cos t) :}`
右の図は `a = 1, b = 1.5` としたときの図である。

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双曲線

双曲線(エス:hiperbolo, 英:hyperbola)の解説は不要だろう。
直交座標系:` x^2 / a^2 - y^2 / b^2 = 1 `
パラメータ表示:`{(x = ± a cosh t),(y = b sinh t) :}`
右の図は `a = 1, b = 1` としたときの図である。

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コンコイド類

コンコイド(エスペラント:konkoido, 英:conchoid)とは、固定点と固定曲線、固定距離から構成される曲線をいう。 コンコイドという名は、コンク(ほら貝のたぐい)の曲線に似ているからという。 日本語では螺獅線(らしせん)という名前がついている。 螺獅の意味はついぞつかめなかったが、田螺「たにし」と呼ばれる貝があるので、やはり貝のなす曲線からきているのだろう。 通常単にコンコイドといえば、次のニコメデスのコンコイドを指すのがふつうだ。

ニコメデスのコンコイド


ニコメデスとはギリシアの数学者。世界数学者事典によれば、 直線と円以外で機械的に描かれることが知られた最初の曲線である、ということである。 上記の一般のコンコイドの定義で、 固定曲線を直線とした場合がニコメデスのコンコイドになる。
点 `O` を平面上の点、`ℓ` を `O` を通らない直線、`a` を正の実数とする。直線 `ℓ` 上の任意の点 `M` に対して直線 `OM` 上の点 `P` と `Q` を `M` までの距離が `a` に等しい点とする(`P` は `ℓ` に関して `O` と同じ側に、`Q` は異なる側にあるとする)。 ニコメデスのコンコイドとは `M` が `ℓ` 上を動いたとき `P` と `Q` の描く曲線である。
直交座標系:` b^2 y^2 = (y - a)^2(x^2 + y^2) `
極座標系:` r = a / (cos theta) + b `
パラメータ表示:` {(x = a + b cos theta), (y = a tan theta + b sin theta) :}`
これらの式で、`0 < a < b` である。
図は `a = 1, b = 2` の場合であり、 青色の線は `1.7 < theta < 4.6 `の場合、 緑色の線は `-1 < theta < 1 ` の場合

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バラ曲線など

バラ曲線

バラ曲線(英:rose curve)とは
`r = a cos k theta` または `r = a sin k theta`
の形で表される曲線である。ここで `k` は有理数である。バラ曲線は正葉曲線ともいう。 下記で紹介するトリフォリウム(三葉線)や四葉線はバラ曲線であるが、 下記のバイフォリウムは上記の形ではないのでバラ曲線ではない。しかし、形状が似ているので便宜上この項に収める。


バイフォリウム

バイフォリウム(英:bifolium)は次のように表される。
直交座標系:`(x^2+y^2)^2 = a x^2 y`
極座標系:`r = a sin theta cos^2 theta`
パラメータ表示:`{(x = a sin theta cos^3 theta), (y = a sin^2 theta cos^2 theta) :}`

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トリフォリウム

トリフォリウム(英:trifolium)は日本語では三葉線と呼ばれる。 なお、trifolium はクローバーのラテン語学名でもある。
極座標系:`r = a sin 3 theta`
パラメータ表示:`{(x = a sin 3theta cos theta), (y = a sin theta sin 3theta) :}`
右図は `a = 2` の場合である。

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四葉線

四葉線(英:quadrifolium)は次の式である。
極座標系:`r = a cos 2 theta`
パラメータ表示:`{(x = a cos theta cos 2 theta), (y = a sin theta cos 2 theta) :}`
右図では `a = 2` としている。
四葉線はバラ曲線 (英:rose curve) の一種である。

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チェビシェフらせんなど

チェビシェフの多項式 `T_n(x)` を定義域[-1,1]でグラフにすると、値域も[-1,1]となり、 次数 `n` を上げると増減の回数も大きくなる。この関数を極座標に置き換える すなわち、`x` を `theta` に (ただし`theta` の定義域は `[0,2pi]`)、 `y` を `r` に(ただし、異なる次数の曲線が交叉しないように、次数の `n` だけゲタをはかせる) と面白い図形になる。なお、多項式は 0 と `2pi` で一致するよう、`n` は偶数に制限する。 これを「チェビシェフのらせん」( chebyshev's spiral)と呼ぶ人がいる。 私が思うに、この曲線はスパイラルではなくて閉曲線なので「チェビシェフの図形」 と呼ぶのがいいと思う。

チェビシェフらせん

チェビシェフらせんは次の式である。ただし、`-1 le t le 1` である。
パラメータ表示:`{(x = (n + T_n(t)) * cos(1-t)pi), (y = (n + T_n(t)) * sin(1-t)pi) :}`
ここで `T_n(x)` は `n` 次(`n` は偶数)のチェビシェフ多項式である。 右図では `n = 2, 4, 6, 8, 10` としている。

もうひとつのチェビシェフらせん

文献によってはチェビシェフらせんを次の式で与えているものもある。
極座標系:`r = n + 1/k (cos n theta)`
右図では `k = 5, n = 1,2,3,4,5,6,7` としている。

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アーネシの曲線

アーネシの曲線(伊:la versiera di Agnesi, 英: witch of Agnesi)は次の式で示される。
直交座標系: `y = c^3/(x^2 + c)`
(2020-05-19)
18世紀イタリアの数学者アニェージ(アーネシ)が研究したことからこの名がある。 英語にある witch はイタリア語の versiera (縄)の誤訳に基づく。 森口繁一・宇田川銈久・一松信:数学公式Ⅰによれば、 ウイッチ(迂池線)という名称がある。池を迂回する線、という意味も含めて、 音訳の傑作だと思う。

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トラクトリックス

トラクトリックス(英:tractrix)は追跡線とも呼ばれ、次の式で示される。
パラメータ表示:`{(x = a (log tan {:theta /2:} + cos theta)), (y = a sin theta):}`
(2020-05-19)

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ラメ曲線

ラメ曲線、または超楕円とは次の式で示される曲線である。
陰関数表示: `abs(x/a)^n + abs(y/b)^n = 1`
パラメータ表示:`{(x =a abs(cos t)^(2/n) sgn(cos t)), (y = a abs(sin t)^(2/n) sgn(sin t)) :}`
ここで、パラメータ t は何ら幾何学的な意味をもたない。 また、sgn() は符号関数であり、引数内が 正、0、負に応じてそれぞれ 1, 0, -1 を返す。
n = 0.5 のときはそれぞれの象限にある弧は放物線である。
n = 2 のときは通常の楕円である(特に a = b のときは円である)。
ラメはフランスの数学者。弾性論のラメ定数などにその名を残している。 (2020-05-19)

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スパイラル

以下、らせん(スパイラル)3種類を示す。

ハイパボリック・スパイラル

まず、ハイパボリック・スパイラル(双曲らせん)は下記の式で表される。
極座標系` r theta = a `
パラメータ表示:`{(x = a/theta cos theta), (y = a /theta sin theta) :}`
右図は `a = 5` であり、`theta` は ` pi / 2` から `12 pi` までとしている。

ロガリスミック・スパイラル

次に示すのはロガリスミック・スパイラルである。これは下記の式で表される。
極座標系:` r = e^(a theta) `
パラメータ表示:`{(x = e^(a theta) cos theta), (y = e^(a theta) sin theta) :}`
`a = 1/pi, -4 pi le theta le 4 pi` としている。

アルキメデスのらせん

最後に、アルキメデスのらせん(エス:arkimeda spiralo, 英:Archimedean spiral)を示す。 これは次の式で表される。
極座標表示:` r = a theta `
パラメータ表示:`{(x = a theta cos theta), (y = a theta sin theta) :}`

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掲載を断念した曲線

クロソイド曲線

クロソイド曲線とは、曲率を一定割合で変化させていった場合に描かれる軌跡である。 クロソイド曲線は次のパラメータ表示で与えられる:
パラメータ表示:`{(x = int_0^T cos theta^2/2 d theta ), (y = int_0^T sin theta^2/2 d theta) :}`
参考:http://shochandas.xsrv.jp/clothoid/clothoid.htm
ここで、パラメータ表示されている積分(フレネル積分)を計算することは大変であり、 断念したというわけである。

数式とグラフの記述

このページの数式は ASCIIMathML で記述している。 また、 グラフはDEFGHI1977 氏によるSVGGraph(defghi1977.html.xdomain.jp) を用いている。以前はASCIIsvgを使って記述していたが、 MathJax による数式表示と相性がよくないため、 SVGGraph に変更した。

参考

更新履歴

まりんきょ学問所数学の部屋 > 曲線のカタログ


MARUYAMA Satosi