「まえがき」から引用する。
(前略)数学が嫌いだ、数学は難しいと思っている人達も、じつは分かるものなら数学を楽しんでみたい。 学校数学は嫌いだけれど、もしかしたら数学の素顔は案外素敵かもしれない。そう考えているかもしれません。
本書はそんな人のために、現代数学の二つの分野、「集合と位相」を解説した本です。(後略)
本書は、同じ著者による「なっとくする集合と位相」を改訂して、ブルーバックス化したものである。
p.109 に次の定義がある。
[定義] 二つの集合 `A, B` について `f: A rarr B` という全単射(1対1対応)がつくれるとき、 この二つの集合は「同等」(または「対等」)である、あるいは、同じ「基数」(cardinal number)を持つという。基数のことを「濃度」(power)ともいう。
集合 `A` の基数を `abs(A)` で表す。
いろいろな呼び名があることはおもしろい。複数の呼び名があるということは翻訳の揺れもあるだろうし、立脚点の違いにもよるものだろう。直後に用語の違いについて、 次のように著者は述べている。
濃度という用語は、無限集合の元の個数をうまく表している用語で、数えられないものの「個数」を、「濃い」「薄い」という感覚的に分かりやすい表現で表しています。 しかし、ここでは拡張解釈された数だという方を重視して「基数」という用語を用いることにします。(後略)
本書ではベルンシュタインの定理が説明されている。なかなか難しいが、この定理を使うと集合論に関する問題に解答が出るのがおもしろい。
[例1] 開区間 (0, 1) と閉区間 [0, 1] は同等である。ただし、
開区間 `(0, 1) = {x | 0 lt x le 1} `
閉区間 `[0, 1] = {x | 0 le x le 1} `
著者は下記の書籍を参考書として挙げている。
このページの数式は MathJax で記述している。
書名 | 現代数学はじめの一歩 集合と位相 |
著者 | 瀬山士郎 |
発行日 | 2024 年 2 月 20 日 第1刷 |
発行元 | 講談社 |
定価 | 1200 円(税別) |
サイズ | 新書版 |
ISBN | 978-4-06-534671-6 |
その他 | 草加市立図書館にて借りて読む |
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