福田 定良:仕事の哲学 |
作成日: 2012-05-20 最終更新日: |
仕事は面白いものか、つまらないものか。著者は仕事の理想を明かす。
この本がよかったのは、ビジネス書ではなかったことだ。ビジネス書では「どんな仕事にも価値がある」 「仕事には一所懸命打ち込むべきである」と書かれている。しかし、そんなビジネス書には吐き気がする。 著者はそのようなことは言っていない。いや、言っているのかもしれないが、そのような天下り式の説教とは無縁である。 仕事の大切さや考え方をいろいろな角度からさまざまに訴えている。この語り口が好きなのだ。
著者の福田定良さんは他にもいろいろな本を出している。落語としての哲学もおもしろい。
序章で福田さんはこういっている。この哲学(=仕事の哲学)の根本的なテーマは、仕事とは何かというこう(仕事の本質)ではなく、
「私自身の仕事」とは何かということである。
解説の松山巖さんが言っているとおり、この本では<私の仕事>と<自分の仕事>を区別している。
松山さんのことばを借りて言えば、福田さんは<私の仕事>は肯定し、<自分の仕事>は否定的にとらえているからである。
松山さんは正直に<私>と<自分>とはどう違うのか、よくわからない。
と述べている。
松山さんの解説はわかるが、福田さんの書いた本文はわからない。それをわかるように読み続けて、できれば理解したい。 納得はできないかもしれないが。
仕事に対しては、いろいろな人がいろいろな思いをもっているだろう。 一つ思うのは、今、ブラック企業に勤めていてとんでもない悪条件の中働かざるを得ない人たちが多くいることに対して、 この仕事の哲学がどのように生きるのか、ということだ。
ブラックといってもいろいろな側面がある。犯罪ゆえのブラックもあれば、酷使されるがゆえのブラックもある。 このような仕事はどういうものなのか。
もう一つは、報酬のない仕事、アンペイドワークと呼ばれるものだ。家事労働などが典型的だ。このような仕事をどのように考えればいいのか。 どちらにも、私にはよい考えがみつからない。
著者は野口整体という名前で野口体操を紹介している。この体操が、 丘沢静也のマンネリズムのすすめでも紹介されていることに驚いた。
書 名 | 仕事の哲学 |
著 者 | 福田 定良 |
発行日 | 2010 年 6 月 20 日 |
発行元 | 中央公論新社 |
定 価 | 781円(本体) |
サイズ | 263ページ cm |
ISBN | 978-4-12-205287-1 |
NDC | 104 |
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