概要
江戸時代の鎖国が終わり、明治の時代を迎えた。士農工商と呼ばれた身分制度は、明治の時代どのようになったか。
「序」に続いて、「第1章 過渡期の混乱」、「第2章 ほろびゆくもの」、「第3章 流離の世界」からなる。
感想
今さらながら驚いた。次はその個所である。
「第2章 ほろびゆくもの」は、「さびれゆくもの」、「流亡の村」、「士族のゆくえ」、「アイヌ悲歌」の計4節からなる。 このうち、「逃亡の村」は「雪崩する村」と「十津川くずれ」という2つの節からなり、「雪崩する村」を読んでいくと、例えば 207 ページ、「三陸の悲劇」という項がある。ここからの記述はまるで 2011 年 3 月 11 日の東日本大震災の津波をそのまま描いているようだ。 ちなみに同書の原典は 1959 年 11 月から 1961 年 1 月にかけて刊行されている。 この項の最後、213 ページから 214 ページにかけての最後の2段落には戦慄を覚えた。
そして 214 ページ、もう一つの節「十津川くずれ」では 1889 年に起きた十津川の氾濫の恐ろしさが描かれている。 221 ページの表を見ていただきたい。豪雨で流木や流石、流土などにより川の流れがせき止められてできた新湖、 いまのことばでいう「天然ダム」の一覧が掲げられている。これは 2011 年に起きた和歌山・奈良の天然ダムの災害を思い起こさせる。 そして、この災害で十津川村を追われた人たちが北海道で入植した土地が新十津川だということをこの本で初めて知った。 私のかつての勤務先の同僚がこの新十津川(2015 年当時の札沼線の終点)に住んでいたのだが、土地の名前の由来がわからないまま今まで生きてしまった。恥ずかしい。
2015年の今、この本を含む全 5 巻は一括重版されている。今すぐ買うべし。
関連書
- 宮本 常一・山本 周五郎・揖西 光速・ 山代 巴(監修):日本残酷物語 1 貧しき人々のむれ
- 宮本 常一・山本 周五郎・揖西 光速・ 山代 巴(監修):日本残酷物語 2 忘れられた土地
- 宮本 常一・山本 周五郎・揖西 光速・ 山代 巴(監修):日本残酷物語 3 鎖国の悲劇
- 宮本 常一・山本 周五郎・揖西 光速・ 山代 巴(監修):日本残酷物語 5 近代の暗黒
書誌情報
| 書名 | 日本残酷物語 4 保障なき社会 |
| 監修者 | 宮本 常一・山本 周五郎・楫西 光速・山代 巴 |
| 発行日 | 2015 年 4 月 27 日 初版第7刷 |
| 発行元 | 平凡社(平凡社ライブラリー 108) |
| 定価 | 1359 円(本体) |
| サイズ | B6変型判 528 ページ |
| ISBN | 978-4-582-76108-5 |
| NDC | 210.04 |