源氏の息子、薫と源氏の孫、匂宮の二人を軸として展開される男女関係を描く。
冒頭で「その頃“藤壺”と申し上げる方は」とくるので面食らう。 この“藤壺”は女御どまり、と訳者は解説している。 源氏物語の初めに得てくるのは桐壺帝の藤壺中宮で、別人である。また、のちに朱雀院の藤壺女御も出てくるが、それとも別人である。
第一巻によれば、“女御”も“更衣”も天皇の寝所に侍る女の地位で、女御が上ということである(p.18<ひかりなび>)。
では、「この“藤壺”は女御どまり」とあるのはどういうことだろうか。桐壺帝の藤壺中宮は女御より上の地位へ行ったということだろうか。
そんなことが、第一巻を読んでもわかっていないのだ。第一巻を読み直して、紅葉賀の巻に藤壺、源氏との不義の子を出産。中宮になる。
と書いてあったのを見て、桐壺帝の藤壺は中宮に出世したのだということがわかった。(2019-05-03)
薫と匂宮によって人生をほんろうされる浮舟は、入水を決意する。私はこれを読んでいたころ、なぜ浮舟はこんなことで悩むのだろうか、 とバカなことを考えていた。私はその後すぐに、やはり「何でこんなことで悩むんだろう」とはたから見れば何でもないことで悩んでいた。 バカなことは考えないほうがよい。
この巻では、浮舟の「死」によってあわてふためく薫と匂宮を中心に話が展開する。 そういえば、「愛はかげろう」という歌がヒットしたころ、私は生きていた。何才だったろうか。
浮舟は入水自殺を決意したが、結局「死」には至らなかった。外で一人でいたところを僧都によって保護されたのだった。 浮舟から「物の怪」を払う僧都らの祈祷により、浮舟は無事元気を取り戻す。
この巻を読んでいるとき、わたしは先の「浮舟」で触れた悩みを抱えていた。私は自分の「物の怪」により、体重が5キロほど落ちた。 食欲がない時間を過ごすのは本当につらい。
この巻の名前はどこかで聞いたことがある、と思ったら、「夢の浮橋」という名前の、若島正による詰将棋が盤上のファンタジアに収められていることを思い出し。
書 名 | 源氏物語6 |
著 者 | 紫式部 |
訳 者 | 大塚 ひかり |
発行日 | 2010 年 1 月 10 日 |
発行元 | 筑摩書房 |
定 価 | 1600 円(税別) |
サイズ | 文庫版 |
ISBN | 978-4-480-42486-0> |
NDC | 913.369 |
その他 | ちくま文庫 |
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