紫式部:源氏物語1

作成日 : 2019-05-02
最終更新日 :

概要

古今東西の女たらしの筆頭格、光源氏の女遍歴が始まる。

感想

資格なし

私はモテない男であるし、男女の(特に女性)の機微もわからないから、何もいう資格はない。

末摘花

びっくりしたのは、この巻「末摘花」だった。訳者の要約を引用する。夕顔とは五条で出会った、とりたてて美女ではないが謎めいた女性。 源氏とデートをするが、のちに夕顔は物の怪にとりつかれ変死してしまう。

夕顔を忘れられない源氏(18)、零落した貴婦人を求め、末摘花を知り契るも、その醜さに驚愕。 「自分以外の男はまして我慢できまい」とかえって結婚を決意する。

ここを読んで、「善人なをもて往生す、いわんや悪人をや」ということばを思い出した。全然関係ないが。

はるか昔、1980 年ごろだろうか。電車のなかで、見るからにハンサムな男と、見るからに美人とは言えない女性が一緒にいた。 女性は幸福そうに満ち足りた顔でいたが、男性は不機嫌そうな顔をしていた。この末摘花の巻を見ると、そんなことを思い出す。

さて、末摘花はどんな容貌なのか。pp.331-332 から引用する。ここで君とは光源氏のことである。

まず座高が高く、胴長に見えるので、君はやっぱりと胸が潰れました。 次に「なんてブサイクな」と見えるものは鼻なのでした。 思わず目がくぎづけになります。 普賢菩薩の乗り物(象)かと思えます。 驚くほど長く伸びていて、 先のほうが少し垂れて色づいているのがことのほか嫌な感じです。 色は雪も恥じらうほど白く、 青みがかって、おでこがすごく広いうえ、 まだ下にもある面だちからすると、どうやら恐ろしく長い顔なのでしょう。 痩せていることといったら痛々しいほど骨張って、肩のあたりなど、 痛そうなまでに着物の上からも見えます。

このあと着物のことまで触れているが、省略する。鼻のことに言及するなんて、ゴーリキーや芥川龍之介、 後藤明生のことまで予測していたのか。 (2019-05-03)

書誌情報

書 名 源氏物語1
著 者 紫式部
訳 者 大塚 ひかり
発行日 20?? 年?月
発行元 筑摩書房
定 価 ??? 円(税別)
サイズ 文庫版
ISBN 978-4-????????
NDC 913.369
その他 ちくま文庫

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MARUYAMA Satosi