不祥事を起こした光源氏は須磨で自主的に謹慎する。謹慎後は権勢を拡大する。
小西甚一が古文の読解で取り上げた不定時法の個所が出てくる。大塚ひかりはどう訳しているか。 p.55 の「須磨」から引用する。
道中、紫の女君の面影がひたと寄り添って、胸も塞がりながら、お舟に乗りました。 日が長いころなので追い風まで加わって、 まだほんの“申の時”…午後四時前後…ばかりに須磨の浦に着きました。
このように、“申の時”を午後四時前後と説明している。これは、最初に読者が読んでみてすぐにわかるようにしたいと訳者が考えてのことだろう。 そして、考え深い読者が、小西甚一がとりあげたような疑問を発したら、そこに研究題材が潜んでいるのだろう。
なお、訳者、大塚ひかりは、不定時法については承知しているはずだ。第一巻の p.44 の<ひかりナビ>で、
季節により昼と夜の長さが変わればそれに応じて変わる不定時法も行われた
ということが記されているからだ。
書 名 | 源氏物語2 |
著 者 | 紫式部 |
訳 者 | 大塚 ひかり |
発行日 | 20?? 年?月 |
発行元 | 筑摩書房 |
定 価 | ??? 円(税別) |
サイズ | 文庫版 |
ISBN | 978-4-???????? |
NDC | 913.369 |
その他 | ちくま文庫 |
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