頭木弘樹(編) うんこ文学

2026-09-18

内容

次の諸作品を収める。

感想

私は大便を漏らしてしまったことがある。その悲しみを忘れないため、借りてこようと思った。

筒井康隆:コレラ

筒井康隆の作品からは「最高級有機質肥料」が取り上げられるかと思ったが、選ばれたのは「コレラ」だった。なるほど、こちらのほうがさらに徹底してグロテスクだろう。 漏らしてしまった者の悲しみという意味では、やはり本編が取り上げられるべきだ。 久しぶりに読んだが、この過激さはおもしろい。

山田ルイ53世:ヒキコモリ漂流記 完全版(抄)

このアンソロジーの中では一番、受けを狙う書き方だが、それでも読後感はいい。

佐藤春夫:黄金奇譚

佐藤は、次のように言っている。p.201 から引用する

以前、化学肥料が今日のように流布しなかった時代、人肥の汲取人たちが、彼らの採取場にあって、 その臭気によって、ここの家族中に病人のいるらしいことや、その家の食味におごっていることや、さてはあまりにつましきに過ぎることなどを判断したと聞き及ぶが、 これも決して偶然ではなく、亦わたくしのこのごちそう観と一脈相通ずるものがあるように思われる。

私はここを読んで、寄本勝美: リサイクル社会への道で述べたことを思い出した。

ヤン・クィジャ:半地下生活者

半地下生活というのを私は経験したことがない。だから、現実感があまり湧いてこなかった。これではいけない。もっと想像力を働かせなければならない。

私が学生時代の最後の一年は、研究室に配属された。研究での実験は地下室で行われた。その地下室が、半地下に一番近かったのだろう。 そういえば、私が配属された研究室だけでなく、他の研究室でも実験室はほとんどが地下にあった。ただ、同じ実験室でも明かり取り用の窓がある部屋とない部屋があり、 私が実験した部屋はたしか明かり取りの窓はなかったと思う(いや、あったのかもしれないが、実験の都合で外光を遮る必要があったので窓を塞いでいたのかもしれない)。 天井も高かったので、それほど陰湿な感じはしなかった。ただ、陰湿な感じがしなかったのは、常時除湿器を稼働させていたからかもしれない。

私事はともかくとして、この主人公の置かれた境遇の惨めさには同情するほかなかった。うんこをしたいときにできないなんて!

土田よしこ:ピクニックにきたけれど…の巻(『つる姫じゃ~っ!』より)

私が土田よしこのマンガを初めて読んだのは、妹が購読していた「りぼん」に掲載されていた漫画だったと思うが、どんな漫画だったかははっきり覚えていない。 ひょっとしたら読んでいないかもしれない。読んでいたらきっと面白がったはずだが、「りぼん」を読んで「面白い」と思うマンガがあったかどうか、はっきりしないのだ。 ただ、小田空の「空くんの手紙」を「りぼん」で読んだことは覚えている。Wikipedia によれば同時期に「りぼん」で土田よしこも連載を持っていたので、 やはり土田よしこのギャグマンガは読んでいたはずだ。少なくともあの絵柄は覚えている。

それはともかく、主人公のつる姫が歌う、「みっちゃんみちみち、うんこたれてー」はどこか懐かしかった。そして、かつて「コミック VOW」で見た、 ものすごい量のうんこをする女性のマンガを思い出したのだった。永井豪の「イヤハヤ南友」に出てくる分津マリイ嬢のことである。

フランソワ・ラブレー:お尻を拭く素晴らしい方法を考え出したガルガンチュアに、グラングジエが感心する

この部分を読んで思い出したのは、フランソワ・ラブレー:第一之書 ガルガンチュア物語の渡辺一夫訳の部分だった。 さすが新訳だけあって、すんなり意味が入ってくる。もちろん、渡辺訳の部分も、詩部が短歌になっていたり漢詩になっていたりして面白いのだが、 意味がわかるというのはなんといってもありがたい。なお、宮下志朗訳のガルガンチュア物語は未読だ。

書誌情報

書名うんこ文学
編者頭木弘樹
発行日2023 年 2 月 20 日 第 1 刷
発行元筑摩書房
定価880 円(本体)
サイズ文庫版
その他草加市立図書館で借りて読む
ISBN978-4-480-43866-9