画像処理といわれる領域の中でいくつかの重要な問題を取り上げ、関連する処理アルゴリズムについて詳述する。
p.79 に衝撃的な画像がある。キャプションには「拘束条件付き最小2乗フィルタによる復元の例」として、 (a)原画像と(b)劣化画像、(c)逆フィルタによる復元像、(d)拘束条件付き最小2乗フィルタの4枚の画像がある。 この(d)の画像が(a)の画像よりより分解能が高くなっているように見える。ひょっとしたら (a) と (d) の画像は入れ替わっているのではないかと疑えるほどだ。
画像についてはともかく、それぞれの画像がどのようにして得られたかを確認したい。 (b) は次に示した特性をもつ画像処理装置で得られる劣化画像であり、さらにこの式とは別に雑音も加えられている。
`H(mu, nu) = exp {-((mu^2 + nu^2)) / (2 sigma^2)}`
ここで、 `H(mu, nu)` は、空間周波数 `(mu, nu)` とボケを表すパラメータ `sigma` をもつ2次元信号に対するシステム `ccL` の周波数応答関数を示す2次元伝達関数である。
(c) の画像の復元には、復元フィルタ `[B]` として次の形で表される逆フィルタを用いている。
`[B] = ([H]^(**T)[H])^(-1)[H]^(**T)`
ここで `[*]^**` は複素共役を、 `[*]^T` は転置を表している。
(d) の画像の復元には、復元フィルタ `[B]` として次の形で表される拘束条件付き最小2乗フィルタを用いている。
`[B] = ([H]^(**T)[H] + gamma [Gamma]^(**T)[Gamma])^(-1)[H]^(**T)`
ただし、`gamma` は
`||bbg - [H] bbhat(f)||^2 = rho^2`
を満足するように設定する。ここで `bbg` は観測画像、`bbhat(f)`は復元画像、`rho` は適当な定数である。
ページ i の「アルゴリズムシリーズ刊行に際して」の本文に、「確立的アルゴリズム」とあるが、 正しくは「確率的アルゴリズム」のはずだ。(2021-01-21)
数式表現、表示とも ASCIIMathML を使っている。
書名 | 画像処理アルゴリズム |
著者 | 斉藤恒雄 |
発売日 | 1993 年 3 月 10 日 |
発売元 | 近代科学社 |
定価 | 2800円 |
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ISBN | 4-7649-0205-2 |
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