プロジェクトとは

作成日:2000-08-05
最終更新日:

プロジェクトの定義というのは、 プロジェクト管理の国際規格である ISO-10006 に書いてある。 日本語版なら、JIS Q 10006である。 で今ここで空で言えるかというと、言えない。 確か、品質と納期とコストに制約のあるものを作るために調整する活動、こんな文脈だったと思う。

これを見て、今でも不思議に思っていることがある。これら QCD を追い求めると切りがない。 どれも無尽蔵にはないし、追求できない。ただ、これらがすべて独立であるかのように取られることは、 ちょっとおかしいと思うのだ。

ワインバーグの本だったかで、「納期の遅れこそが、プロジェクトの失敗を雄弁に表す」 という意味のことが書いてあった。私のように、どれだけの金を使ったか把握していない人間でも、 納期の遅れはひしひしと感じるのだった。もちろん、まだ実装していない機能を後回しにするとか、 とんでもないバグを回避策があるから対処する必要なし、とぬけぬけと言えれば、 これはこれで納期を守ることができる。だが、客先に出す製品で、さすがにここまでは言えない。

最近では、QCD (Quality, Cost, Delivery) の他に、 S (Safety または Security) という安全面の観点を表に出すことが多い。 別の見方では、Q (製品の品質)の負の側面を強調したともいえる。

また、直接製品には関与しないが、生産性(Productivity)もプロジェクトにおいて把握されなければならない。 単位時間・単位人員あたりにどれだけ製品に寄与できたかを計測できたかである。

ただ、安全性や生産性は、QCD と比べて、特に C や D と比べて 単純な計測にのりにくいという問題がある。 これらを何らかの尺度で計測(あるいは評価を)可能とすることが今後の課題であろう。

最初にプロジェクトリーダーが行なうべきことは、ごくごくはしょっていえば納期の管理であると いっていいのではないか。それからコストである。コストをどうやって算出するのといわれれば、 これまた手荒く人月でまずは勘定する。 これができなければ、その先の「人月の神話」を読んでなるほどと思うこともできないのだ。 そして、品質である。もちろん、品質を軽視するわけではない。計量可能なものも把握できないのに、 なぜ品質という複雑怪奇なものが測れるのか?という意味から後回しにしただけのことだ。

私の以前の大ボスがこういっていた。「納期を守れたプロジェクトは、たいてい製品の質もいい」

以上が納期すら碌に管理できない、ダメプロジェクトリーダーだった私の反省である。

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MARUYAMA Satosi