フォーレ:ヴァイオリン協奏曲 |
作成日:1998-06-10 最終更新日: |
フォーレの協奏曲はヴァイオリン協奏曲一曲だけであり、 それも未完成であるため(第1楽章のみ)めったに聞く機会がない。
ピアノと管弦楽のための作品は2曲ある。 しかし、協奏曲という名前がついていないせいか、 他の作曲家の協奏曲に比べて奏される頻度が少ない。 バラード と幻想曲 でそれぞれ紹介したので参照されたい。 また、ピアノ伴奏で知られる「エレジー」「アンダンテ」にも、 オーケストラ伴奏版があることを付記する。
Op.14のこの曲は第1楽章だけであるが16分を要する。
出だしはずっとボーッとしているためあまり印象には残らない。
しばらくしてヴィオラによる第1主題が出てくる。
フォーレを聞き慣れている人は、 弦楽四重奏曲の第1楽章第1主題と同じであることがわかるだろう。 ただし、ヴァイオリン協奏曲の主題の旋法はアイオニアンなのに対し、 弦楽四重奏曲の第1主題はフリジアンであるという違いがある。
しばらくして、ヴァイオリンソロによる第2主題が出てくる。 こちらも、リズムが一部変更されているのを除けばやはり、弦楽四重奏曲第1楽章の第2主題と似ている。
ヴァイオリンの扱いはけっこう華々しく、 いかにも協奏曲のソロであるという感じが強い。 たとえば彼の室内楽ではめったに現われない重音奏法が頻繁に用いられている。 それから幅広いパッセージ、 細かな動きなど、非常に若々しさを感じる。 オーケストラの扱いはまだまだであるが、 ヴァイオリンのみずみずしさを伝えるヴァイオリンの協奏的作品であることには変わりはない。 なのに、この曲の知名度はあまりにも低い。 だから、ショーソンの「詩曲」 ぐらいには演奏されてほしいと私は願っている。
私が所持している CD はボヌッチ(vn)、バティス(cond)による演奏のみである。 演奏の巧拙はわたしにはわからないが、フォーレの若き日の情熱が感じられる。
ほかには、Timpani レーベルによるジャン=マルク・フィリップス=ヴァリャベディアン(vn)、 モーシェ・アツモン(cond)によるCDもあるようだ。 また、Hyperion レーベルからは、 Philippe Graffin (violin), Ulster Orchestra, Thierry Fischer (conductor) が、 Cambria レーベルからは、Mischa Lefkowitz (violin)、Polish National Radio Symphony Orchestra, David Amos (conduector) もある。
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