"mosrite"とは?

"mosrite"とはセミー・モズレーとレイ・ボートライトによって1950年代前半から作られていたエレキ・ギターです。
1960年代初め、"エレキの王様"ノーキー・エドワーズとの出会いによって生まれた"THE VENTURES model"はその最高傑作です。
その一番最初のモデルである63年型の特長は、セットネック構造でボディの周りにセル・バインディングが入っている事です。
ジャックはサイドにあり、俗にサイド・ジャックと呼ばれています。
ネックは極端に細く薄く、フレットも細く低い物がセットされています。
"THE VENTURES model"のロゴは大きな物で、ヘッドはバースト仕上げです。
0フレットが存在し、ナットは半筒形の物が使われています。
トレモロユニットはヴァイブラミュートと呼ばれるタイプで、極初期の物にはその名の通りブリッジミュート機構が存在します。
約200本が製作され、現存するのは60本程度と思われます。
1965年1月の来日公演で使用されたのはこのタイプです。

64年型になるとジャックがピックガード上に移動します。
俗にトップ・ジャックと呼ばれています。
ボディの周りのセル・バインディングが無くなり、ネックのジョイント方式がデタッチャブル(ボルト・オン)に変わります。
ネックとボディはスクリューで直に固定されています。
スクリューの頭はプレートでカバーされており、俗にカバードと呼ばれています。
極少数ですが、ボディの周りにバインディングが入っていて、トップ・ジャック、カバードと、63年型と64年型の特長を併せ持ったギターが存在します。
64年中期より、"THE VENTURES model"のロゴは小さい物になります。
さらに64年後期にはピックアップもより強力なタイプになります。
1965年夏の来日公演で使用され、"エレキの若大将"加山雄三氏に贈られたのはこのタイプです。

65年にはネックのジョイント方式が極普通のネックプレート式になります。
ピックアップには"mosrite of california"の刻印が入ります。
日本に正式に輸入されたのはこのタイプからです。
銀座の山野楽器に入荷した第一号は、"エレキの神様"寺内タケシ氏が購入したとされています。
また、65年後期よりトレモロユニットがモズレーに変わり、ボリュームとトーンのノブもハット・タイプに変わります。
さらに、ネックも1ピースから2ピースへと変更されます。
この時期の"mosrite"は仕様がかなりまちまちで、残っていたパーツとその時点での最新のボディ、ネックが複雑に組み合わされています。

66年になると、トラスロッドの調整方式がボディ側からヘッド側に変更され、ヘッドにアジャスト・カバーが付きました。

67年には"THE VENTURES model"のロゴが消え、60年代における"mosrite""THE VENTURES model"の歴史は終わります。

ここまでが俗にヴィンテージと呼ばれている"mosrite"です。
セミー・モズレー亡き現在も、"mosrite"は彼の遺志を引き継ぐ人達によって"復刻版"として作り続けられています。

1960年代の"mosrite"ギター弦ストラップ

1960年代の"mosrite"ピック

1967年頃のカタログ (1) (2) (3) (4) (5)

いろいろな"mosrite"の写真 mosrite guitars

"ジャパン・モズライト"は"mosrite"とは全く無縁のギターです。

"ジャパン・モズライト"というギターを知っていますか?
"mosrite"のコピーモデルです。
単なるコピーモデルであり、"mosrite""復刻版"ではありません。
"mosrite""ジャパン・モズライト"は、"FENDER USA"と"FENDER JAPAN"のような関係ではありません。
セミー・モズレーによる技術指導や"mosrite"との業務提携といった事は無く、独自にコピーモデルを製造しているにすぎません。
いわゆるライセンス生産ではありません。
"ジャパン・モズライト""mosrite"とは全く無縁のギターです。

"ジャパン・モズライト"は長野県で製造されているらしいのですが、何故か"mosrite of california"というマークが入っています。
いつから長野県は"california"と呼ばれるようになったのでしょうか。
さらに"THE VENTURES model"というマークまで入っています。
"THE VENTURES"に対して大変失礼な事です。

取り敢えず見かけが似ていれば良い、価格が安ければ良いといった方は別として、何も知らずに"ジャパン・モズライト"を真の"mosrite"と信じて買ってしまった方は大変お気の毒です。
ヴィンテージの"mosrite"は大変貴重で現存する物は決して多くはありません。
"復刻版"もあまり多くは市場には出回っていません。
でもまめに探せばきっと素晴らしい真の"mosrite"に出会えるはずです。

これらが本物の"mosrite THE VENTURES model"のロゴマークです。

"THE VENTURES"の最後の二文字、"E""S"が離れているのが本物です。

最近このロゴマークが改良された"ジャパン・モズライト"が出回っております。
ご購入の際にはどうぞご注意下さい。(1999年7月に確認)


無断リンクは固くお断りいたします。
リンクご希望の方は、必ず事前に連絡願います。