ヴィンテージの"mosrite"について

ヴィンテージの"mosrite"は誰もが憧れる大変貴重で素晴らしい楽器です。
最近では流通する本数が極端に減り、実物を目にする事が難しい状況です。
僅かに流通しているヴィンテージも、「フル・オリジナル」といいながらもパーツが交換されているケースが多々ありますので、購入する際は慎重に吟味する必要があります。
確かに"mosrite"のパーツ同士を交換しているので単純には「フル・オリジナル」を否定出来ません。
しかし、製造された時期によって使われたパーツは微妙に変化していきましたので、厳密には「フル・オリジナル」とはいえないでしょう。
悪質な場合"復刻版"のパーツに交換されている物もあります。
単なるリフィニッシュ(色の塗り替え)ならともかく、改造やパーツ交換をされてしまった物はヴィンテージとしての価値は大幅に下落してしまいます。
相場よりも安値の物は、大抵の場合これに当たります。
ヴィンテージの"mosrite"は実績と信用のある販売店から直接入手するのが一番です。
後々のメンテナンスや修理には専門知識を要しますので、実績のない販売店や個人売買は避けた方が良いでしょう。

アメリカの楽器店や個人から入手するという方法もあります。
"mosrite"に関する知識が十分にあり、旅行・出張等の機会に直接実物を確認出来る方は良いのですが、一般の方には信頼性の面からあまりお勧め出来ませんし、後々のメンテナンスや修理に不安が残ります。
驚いたことに"mosrite"に関する情報はアメリカよりも日本の方が正確で豊富です。
日本ではほとんどあり得ませんが、アメリカにおいては1980年代に製作された物が「1963年製のヴィンテージ」などとして出回る事が多々あります。
ほとんどの場合は単なる情報不足による間違いなのですが、悪質な場合はリフィニッシュや改造、パーツ交換をした上で「故セミー・モズレー氏元所有」などと故セミー・モズレー氏の名前を利用しています。
さすがにこの手の物にはアメリカ人も慎重になり、被害が出る事はほとんどありません。
死人に口なしの状況下、何本もの「故セミー・モズレー氏元所有」の"mosrite"が現れる恐れがあります。
あまり派手な触れ込みの物には手を出さない方が良いでしょう。
また、昔"mosrite"で仕事をしていた職人が、倒産した時点で残っていた材やパーツを利用して"mosrite"もどきを作ってしまった話は大変有名です。
ボディの周りにセルバインディングがあり、ネックジョイントがセットネック方式でありながら"THE VENTURES"のロゴが小さい物であったり、ヘッドがバースト仕上げではなく黒のつぶし塗装であったり。
"mosrite"に限らず、製造番号(シリアル番号)は間単に消したり打ち変えたりする事が出来ます。
製造番号の刻印が無い物や、製造番号と仕様が不釣合いな物も要注意です。
騙されてからでは遅いのです。