関西を中心に「製造番号(シリアル番号)が"#0091"以降の物はトップ・ジャックの1964年製で、ネックのジョイント方式がデタッチャブル(ボルト・オン)である」という間違った情報が出回っておりますが、1963年に製作されたいわゆる63年型の"mosrite"は約200本です。
つまり製造番号が"#0200"までの物は、そのほとんどが1963年に製作されたという意味です。
おおよその製造年月はボリュームとトーン、いわゆる「ポット」の製造年月で特定出来ます。
製造番号が若い物から順に辿っていくと、このポットの製造年月が1963年1月から少しづつ進んでいくのが分かります。
FENDERなどと違って当時の"mosrite"は小規模であったため、パーツ類をこまめに購入していたのでしょう。
製造番号"#0184"の"mosrite"は63年型の特徴を全て満たしており、ポットの製造年月は1963年の12月です。
製造番号"#0202"の"mosrite"はネックのジョイント方式がデタッチャブル(ボルト・オン)になっており、ジャックがピックガード上に移動した"トップジャック"になっています。
この事から製造番号"#0200"付近を境に63年型から64年型への移行が始まったと想像出来ます。
ボディの周りのセル・バインディングは製造番号"#0270"付近の物から無くなります。
また、製造番号"#0060"までの物のヴァイブラミュートが、全てブリッジにミュート機構が存在するアルミ製の物であるという間違った情報が出回っているようです。
このアルミ製のヴァイブラミュートは元々はギルド社のギター用に約25個作製された物ですが、使い物にならないという理由で返品されてしまいました。
セミー・モズレー氏はこのアルミ製のヴァイブラミュートを、ギルド社のマークを削り落として再利用してしまったのです。
製造番号"#0001"〜"#0016"(製造番号の刻印が無い数本の試作品を含む)に使われています。
製造番号"#0017"からは通常のヴァイブラミュートを使い始めましたが、何故か製造番号"#0050"台の数本にもアルミ製のヴァイブラミュートを使っています。
これら以外にもかなり間違った情報が出回っているようで、このままでは混乱を招きかねません。
現在、"某楽器店"を通して流通したヴィンテージの"mosrite"の詳細なスペックのデータベース化を進めており、近い将来公開する予定です。