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第三仮説の検証
第一・第二の仮説が否定されて第三の仮説の成立する可能性は既にほとんどないと考えられるが、ここでは一応三角縁神獣鏡が魏鏡であると仮定して議論を進める。
「三角縁神獣鏡は魏志倭人伝に記されている卑弥呼に与えられた鏡である」
- 第三仮説を”真”とする議論
魏志倭人伝に、卑弥呼に銅鏡を与えたと記述されている。
- 第三仮説を”偽”とする議論
- 尚方工官(魏の場合は右尚方)が製作した鏡なら「尚方作」と言う銘文があるはずである。尚方作と書いてあっても吟味が必要であるが、書いてなければ論外ではないか。(安本美典が作成した三角縁神獣鏡の分類表によると尚方作とあるのは4面だけである。)
「尚方作」というのは最高のブランドであり、卑弥呼に与えた銅鏡に入っていたに違いない。
- 魏志倭人伝に記されている魏が卑弥呼に与えた鏡の枚数は100枚である。ところが現在までに発見されたものはいわゆる舶載のもので350枚を超えている。また多くの未発掘大型古墳が存在するので、発掘が進めばこの数はさらに大きくなると考えられる。いわゆる舶載の三角縁神獣鏡のすべてが卑弥呼に与えられた銅鏡だということはありえない。
- 「配布担当者説」について
上記議論に対して「椿井古墳で32面・黒塚古墳では33面の三角縁神獣鏡が発見されたが、この古墳の被葬者が鏡の配布を担当した人であるから数が多いということで説明できる。他の古墳はそうとは限らない。」という反論がある。
しかしこれも「特鋳説」と同様に仮説検証法のルール違反である。仮説を検証する議論に新たな仮説を導入している。しかも何の根拠も示していない。検証できない新たな仮説を検証過程に導入すれば本題の仮説検証が停止してしまう。このような仮説は仮説そのものを棄却するべきである。
- 第三仮説検証の結論
仮に三角縁神獣鏡が魏鏡であるとしても、魏から卑弥呼に与えられた鏡であるとは言えない。
第三の仮説は否定された。