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第一仮説の検証
「三角縁神獣鏡は舶載鏡である」
- 第一仮説を”真”とする議論
三角縁神獣鏡は重く、大きく、文様がすばらしい。(当時の国内では作れたはずがないから)舶載に違いない。(当初自明の理と捉えたためか、有力な論証は皆無である)
- 第一仮説を”偽”とする議論
- 発見されている三角縁神獣鏡の間で多くの「踏み返し」関係が観察される。踏み返しのために原産地に原鏡を送り返したとは考えられない。鋳型製作、鋳造以降の工程は国内で行われたと思われる。これは良質の鋳造が国内で可能であったことを意味している。このことがこの仮説を”真”とする議論を根底から覆すことになる。
- 三角縁神獣鏡と同型の鏡が、華北・華南において発見されたことは一例もない。国内においてはいわゆる舶載鏡だけでも350面以上発見されている。通常大量に出土したものは、他に出土例がなければ出土地の特産品と考えられる。
- 第一仮説検証の結論
いわゆる舶載の三角縁神獣鏡を全体として輸入品とすることはできない。
第一の仮説は否定された。
踏み返し:鋳造技術の一つ。原鏡に粘土などを押しつけて鋳型を作る。原鏡と同じ文様の鏡ができるが、収縮によって原鏡よりわずかに寸法が小さくなる。10/1000〜17/1000程度収縮すると報告されている。(20cmの鏡で2〜3mm収縮する)