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(2000.夏) |
『愛が聞こえます』の旅公演で福岡県飯塚市を訪ねました。ここは明治以降、全国一の出炭量を誇る筑豊炭田の中心都市であり、文化・商業の中心として栄えた街です。
大正10年、この街に大衆劇場の一つとして「嘉穂(かほ)劇場」という木造の劇場がつくられました。いまも使用されているとのことで、どんなところだろう、と休日に見学に行ってみました。
小さな芝居小屋なんだろうな、と思っていたら大間違い、なんと1400名も収容できるもので、びっくりしました。しかも客席は枡席です。1階と2階は桟敷席で、畳敷きになっています。両側には花道まであります。さすが大正時代創建。記念に花道を歌舞伎役者のまねをして走ってみました(おっとっとっと…)。
嘉穂劇場
舞台は間口が26メートル半、奥行きは50メートルもあって、青年劇場の芝居も十分できる広さです。回り舞台もあるので奈落を見学してみましたが、何人ものひとが手動で舞台を回していたんだとわかりました。
暗い奈落のなか、一緒に見学した劇団員どうしで「きっとこういう奈落にオペラ座ならぬ"嘉穂劇場の怪人"とかが住んでいるんだよ」とか言っては脅かしあいます。それほど古くて不気味な感じがする場所でした。
現在でも、舟木一夫、中村美津子、川中美幸などの人たちの歌謡ショーや前進座、文学座の芝居が上演されたりしています。変わったところでは、椎名林檎のライブのお知らせも貼ってありました。こんなところでロックのライブをする彼女はなかなかしぶい、カッコいい人だなと感心してしまいました。きっと若いひとの集まるライブで、この劇場は生き生きと輝く姿を現すんだろうなぁ。
近い将来、ここで青年劇場が公演する日が来るかもしれませんね。
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