準は走っています。なんだか落ち着かない感じで、辺りを見回しています。
…と、トイレはどこ?。
そうなのです。急に催してしまったみたいです。でも、こういうときに限って見つからないものです。
…もうだめ。もっちゃうよー。
脂汗が冷や汗に変わろうとしたとき、公衆トイレらしいものが見えました。
…よかった。
準はほっとして、その建物に入りました。
「おめでとう!」
すると、誰かが準に声をかけてきました。声のする方を見ると、準のぬいぐるみのくまちゃんが立っています。
「おめでとう!。あなたはこのトイレの2万人目のお客様です」
「へ?」
準があっけにとられてみていると、くまちゃんは短い手でぱちぱちぱちと拍手をすると、準に色とりどりの紙吹雪をかけました。
「そ、そうなの。えへへへ」
準はなんだかうれしくなって照れ笑いをしましたが、よく考えていたら、そんな場合じゃありません。
「あ、あの、ぼくちょっと…」
でも、くまちゃんは、そんなことはお構いなしに、話を続けます。
「あなたには、『ばかうけ(青のりしょうゆ味)』1年分の目録だけが進呈されます」
くまちゃんは、また拍手をすると、準に目録を渡そうとします。
「…大事な用事があるんだけど」
準は、ズボンの前を押さえながら言いましたが、くまちゃんはなおも「式」を進行しようとします。
「今の心境を、一言どうぞ」
くまちゃんが差し出したマイクに、準は悲鳴にも似た声で叫びました。
「ぼ、ぼくおしっこ!」
「あ、だめっ!」
くまちゃんは、準の手をつかんで止めようとしましたが、準はそれを振り払うと、便器の前に立ちました。
「今は、だめだってばーっ」
チャックを開けるのももどかしく、準はパンツから引っぱり出すと、おしっこを始めました。
我慢していただけに、いつもよりいっぱい出るみたいです。
…あー、幸せ。
準は天にも昇る気持ちです。
…気持ちいいなあ。なんだかおしりの方がほんわかと温かくなってきたし。
でも、それがまたたまらなくいい感じなのです。準が満足感を味わっていると、後ろから声がしました。
「準くーん…」
「ん?。あ、あああっ!」
…物語は、またしてもこのページのどこかに続く(^^;。 |