くまちゃんに紙吹雪をかけられる準
第51話:20000
 準は走っています。なんだか落ち着かない感じで、辺りを見回しています。
 …と、トイレはどこ?。
 そうなのです。急に催してしまったみたいです。でも、こういうときに限って見つからないものです。
 …もうだめ。もっちゃうよー。
 脂汗が冷や汗に変わろうとしたとき、公衆トイレらしいものが見えました。
 …よかった。
 準はほっとして、その建物に入りました。

 「おめでとう!」
 すると、誰かが準に声をかけてきました。声のする方を見ると、準のぬいぐるみのくまちゃんが立っています。
 「おめでとう!。あなたはこのトイレの2万人目のお客様です」
 「へ?」
 準があっけにとられてみていると、くまちゃんは短い手でぱちぱちぱちと拍手をすると、準に色とりどりの紙吹雪をかけました。
 「そ、そうなの。えへへへ」
 準はなんだかうれしくなって照れ笑いをしましたが、よく考えていたら、そんな場合じゃありません。
 「あ、あの、ぼくちょっと…」
 でも、くまちゃんは、そんなことはお構いなしに、話を続けます。
 「あなたには、『ばかうけ(青のりしょうゆ味)』1年分の目録だけが進呈されます」
 くまちゃんは、また拍手をすると、準に目録を渡そうとします。
 「…大事な用事があるんだけど」
 準は、ズボンの前を押さえながら言いましたが、くまちゃんはなおも「式」を進行しようとします。
 「今の心境を、一言どうぞ」
 くまちゃんが差し出したマイクに、準は悲鳴にも似た声で叫びました。
 「ぼ、ぼくおしっこ!」
 「あ、だめっ!」
 くまちゃんは、準の手をつかんで止めようとしましたが、準はそれを振り払うと、便器の前に立ちました。
 「今は、だめだってばーっ」

 チャックを開けるのももどかしく、準はパンツから引っぱり出すと、おしっこを始めました。
 我慢していただけに、いつもよりいっぱい出るみたいです。
 …あー、幸せ。
 準は天にも昇る気持ちです。
 …気持ちいいなあ。なんだかおしりの方がほんわかと温かくなってきたし。
 でも、それがまたたまらなくいい感じなのです。準が満足感を味わっていると、後ろから声がしました。
 「準くーん…」

 「ん?。あ、あああっ!」

 …物語は、またしてもこのページのどこかに続く(^^;。 

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