がんばれ、日本!(^0^)
第49話:シドニーオリンピック
(注:この物語に出てくる試合結果は架空のものです)

 今世紀最後のオリンピックが開幕しました。
 準は、お父さんといっしょにサッカーの試合をテレビで見ています。
 「オリンピックって、いつも真夜中とかにやってるのかと思ったら、そうじゃないんだねえ」
 準が言いました。
 「ハハハ、アメリカやヨーロッパでやったら、時差でそうなるんだよ。シドニーは時差が2時間だから、日本では見やすい時間になるんだ」
 「ふうん。そういや長野も見やすい時間だったねえ。長野って時差ないの?」
 「……」
 今一つよくわかっていない準くんです。

 そうこうするうちに、試合はどんどん進行していきます。お父さんと準は、日本チームの活躍に一喜一憂です。時には大きな声で歓声を上げる二人です。
 試合は同点のまま、後半のロスタイムに突入しました。しかし、決着が付かないまま、主審が試合終了のホイッスルを吹きました。
 「ねえ、同点だけど、これからどうなるの?」
 準が訊きました。
 「延長戦をやるんだよ。日本じゃサドンデス…いや、Vゴールと言っているやつだ。先に点を入れた方が勝ちなんだ」
 「へえ」
 「オリンピックじゃゴールデンゴールと言うらしい」
 「ゴールデンボール?」
 「ゴールデンゴールだよ。…ゴールデンボールじゃ、日本語に訳したら放送できないだろ」
 「えっ。キャハハハ、そうだね」
 準はおなかをかかえて笑いました。

 いよいよ15分ハーフのゴールデンゴールが始まりました。先取点を上げたら勝ちですが、逆に、取られたら負けです。準はやや興奮気味に、さっきより夢中になって見ています。
 お父さんは、準がおしりをもぞもぞ動かしているのに気づきました。
 「おまえ、トイレじゃないのか?」
 「うん。でも、一番いいところを見逃したらイヤだし」
 「早く行った方がいいぞ」
 「…うん」
 準は上の空で返事をすると、ソファの上に正座をしました。こうするとおしっこが我慢できると準は思っているのです。

 そして、その時が来ました。後半残り5分で、日本選手が放ったキックが相手チームのディフェンスの頭上を越え、キーパーが差し出した手をかわしてゴールネットを揺らしました。
 「わあい、やったやったーっ!」
 準はぱっとソファから飛び降りると、バンザイをしました。
 「いいぞいいぞ」
 お父さんも手をたたいて喜んでいます。
 「…あっ。ああーっ」
 準の声のトーンが変わりました。
 「どうした?。ああーっ」

 …物語はこのページのどこかに、期待通りに続く(^^;。

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