入門讃岐うどん


 香川県人か、否かを判別する方法はうどん好きか、否かである。ここでは讃岐うどんについての素朴な疑問について答えよう。

なぜうどんが名物になったの?

 喫茶店でうどんが食べられる。なぜこんなにうどん好きになったのか。実際、香川県人が一年間に食べるうどん玉の数は130玉。全国平均の4倍、断トツの日本一である(ちなみに麺聖は1997年に593玉食べた)。小麦の産地だった。いりこが獲れた、醤油・塩作りが盛んだった。冠婚葬祭何かにつけてうどんが出てきた。諸説あるがよく似た地域は全国各地にある。私の説は次の2点だ。

  1. 金比羅参りと瀬戸大橋の観光があった。
  2. 昔、宇高連絡船が通っていたころデッキで食べるうどんはおいしかった。

 観光は名物を作る。『紙本着色金比羅祭礼図』といううどん屋が描かれた江戸中期元禄の屏風がある。門前町琴平のうどん屋の出現は江戸、大坂などの大都市と同じ頃なのである。瀬戸大橋が開通したときの観光客の数はすごかった、日本人は観光に行くと土産を買う、乾麺の生産が飛躍的に伸びたのはこのときだ。
 連絡船のうどんの出来は悪かった、でも美味しかった。多分、香川県人は同じ思い出を持っていると思う。その共通の原体験、気持ちがうどんへの思い入れになっていると思う。


うどん屋って何軒あるの?

 信号機の数よりうどん屋の数が多いといわれるが実際には何軒だろうか?俗説では三千軒、県の調べ(食べ物屋をすべてカウントする)で壱千軒、私の実感では自分の店で打った麺を食べさせる店は多くて八百軒(少なく見積もれば七百軒弱)といったところか。

セルフってなに?

 街を歩いているとやたらに目に付くセルフの店の看板いったいなにがセルフなのか。形態に着目すると香川県のうどん店は次の三種類に大別できる。

一般店(ファミリ−レストラン型)
セルフの店(ファーストフード型)
製麺所付属

 順に全体の6割、3割、1割を占める。




釜上げ 醤油



大根とか醤油と書いてあったけど

 麺を茹でる途中そのまま茹でた湯とともに鉢に入れて釜上げ、水で締めてそのまま出して醤油をかけて食べるのが醤油、醤油に大根下ろしがつくと大根、ざるに盛りざる。この3種類が出来立ての麺でしか作れないメニュー。できあがった麺を熱い湯に入れて出すと湯だめ、暖め直してだしをかけてかけとなる。

だしが透き通ってるけど

 製麺の盛んなところ水が美味しく、きれいだ。当然色づけする必要がない、だからだしは透き通っている。ついでだが讃岐にあっては昔からだしは煮干し(いりこ)、薬味はショウガと細ネギ(九条ネギ)を基本とした。今は都会風に、煮干しに変わりかつおがショウガに変わり七味が多くなったけれど。