報告書 別紙5 今後の展開について
★禁無断転載★

概念図


〜プロジェクト型授業をサポートするエージェンシーの組織化および小学校における3つの実践〜(仮称)
■主旨

 福岡におけるプロジェクトで、ヴォッヘンクラウズールは日本の教育問題をテーマにしました。

 彼らは日本の学校と地域社会との間に相互交流がうまれることで、学校に発生している問題のいくつかは間接的に解消していくのではないかと考えました。
 学校を社会に対して開いたものとすること、子供たちが社会を直接体験すること、そして学校における勉強が社会と密接に関わっているという事を知ることが大切であると考えたのです。

 具体的には、学校にさまざまな専門家を講師として派遣し、授業のなかで先生や子供たちといっしょにプロジェクトをおこなうこと(プロジェクト型授業)を提案しました。彼らはいろいろなプロジェクト型授業のサンプルプランをつくり、それらの内容と専門家のリストをつくることを提案しました。

 さらにこれを恒久的なシステムとするため、専門家と学校をつなぐコーディネート組織「エージェンシー(仮称)」の設立を呼びかけています。
 
 

 ヴォッヘンクラウズールのアイデアに基づくプロジェクト型授業のプランは、2000年1月現在、福岡市内及び近郊の3つの小学校で採用され、滞在中に最初のガイダンス授業が実施されました。
 実際のプロジェクト型授業は2000年春以降にも予定されており、これらはウィーン側のアーティストが帰国したのちに「エージェンシー(仮称)」によって運営されていく予定です。

 実質的にはミュージアム・シティ・プロジェクトが暫定的に運営の窓口となり、エージェンシー設立及びコーディネーターの募集を同時に呼びかけていきます。

 なお、日本では2002年度より学習指導要領が変更され、プロジェクト型授業とほぼ同じ趣旨の「総合的な学習」を導入することが決定しています。
 「総合的な学習」は既に2000年度より段階的に進められる予定であり、プロジェクト型授業をコーディネートする組織の設立は現場の教師たちにとっても、たいへん有用であると思われます。

 「エージェンシー(仮称)」は社会と学校との間のコミュニケーションをコーディネートする組織として有意義な成果をもたらすと考えます。



■プロジェクト型授業の進行プラン

(1)商店街活性化プロジェクト授業

○趣旨および内容:小学校の生徒が実際に商店街に訪れ、店の人と話しながら店や地域の特色を知り、そこから街に活気を与えるような活動を展開させる。
○対象:箱崎小学校(福岡市東区箱崎)3年生[2000年度は4年生]
○導入:2000年1月14日にガイダンス授業を実施
○講師:南博文(九州大学大学院人間環境学研究科環境心理学教授)
○2000年度進行プラン[予定]
  春頃まで いろいろな店を見学し、アイディアを準備
  5月頃  生徒が見学してきたことをもとに、南教授と生徒が話し合い
       南教授らによる地域環境や歴史などについてのレクチャー
  6月頃  商店街の見学
       店にあった宣伝方法を考え、ポスター等をデザイン
  夏頃   実際に店頭にポスター等を掲示。マスコミを通じ広報。

(2)「私たちの新聞をつくる」(仮称)授業

○趣旨および内容:新聞製作の面白さを知り、現実の新聞に印刷する紙面を制作する。
○対象:舞鶴小学校(福岡市中央区舞鶴) 5年生[2000年度は6年生]
○導入:2000年1月12日に、「新聞がおもしろい」というテーマでガイダンス授業を実施
○講師:嶋村初吉 (西日本新聞社 編集局 文化部)
○2000年度進行プラン[予定]
  春頃まで テーマについて議論し、アイディアを準備。新聞社と細かい点を相談
  5月頃  紙面のテーマ決定
       新聞社を見学し、実際の作業工程を学ぶ
  6月頃  実際の紙面を作成するための作業にはいる
  夏頃   現実の新聞に印刷

(3)「ぼくらの家をつくる」(仮称)授業

○趣旨及び主な内容:家の建造について段階的に学びながら、実際に自分たちの手でつくり、その家で時間を過ごすまでを、建築家と一緒に考え実現していく。
○対象:笠松小学校(福岡県鞍手郡宮田町) 6年生
○導入:2000年1月14日実施。家のイメージスケッチや場所選びなど。
○講師:佐藤俊郎(建築家)、おがたたかひろ(アーティスト)ほか
○進行プラン ※本授業は1999年度で終了。
  1月中  設計図づくり、材料集めを行い、実際に「家」づくりを行う
       制作過程で、算数や社会科、環境学習の要素を取り入れた授業を行う。
       できあがった家で、こども達主催のパーティーを開催する。
  卒業(3月)まで プロセスを記録した卒業記念の本をつくる。(予定)
  インターネットのホームページ上で情報発信を行う。(予定)



■エージェンシー(仮称)に関する進行プラン
  春頃まで 上記プロジェクト型授業をおこなう講師以外のスタッフを募集
       エージェンシー(仮称)を組織として成立させるための準備  
  5−7月 プロジェクト型授業の実施
  (未定) エージェンシー(仮称)を非営利組織として設立
  ※設立まではエージェンシー(仮称)は暫定的にMCP事務局内とする。


(注)
ヴォッヘンクラウズールの上記のメンバーは「ミュージアム・シティ・プロジェクト1999」(2000年1月終了)の後、いったん解散する。
その後の活動は「エージェンシー(仮称)」にひきつがれるが、ミュージアム・シティ・プロジェクト事務局が暫定的な窓口として、運営実施する。
ミュージアム・シティ・プロジェクトは「エージェンシー(仮称)組織スタッフ」を募集し、独立した組織(非営利団体・NPO)とすることを目指す。


(参考)現在進行中のプロジェクト型授業に関わる講師リスト[予定含む]

○新聞社等の製作担当者 ほか

○南博文   九州大学 大学院人間環境学研究科 環境心理学教授
○南教授のゼミ等の九州大学学生 ほか

○佐藤俊郎  建築家・環境デザイン機構代表取締役
○おがたたかひろ  建築家・アーティスト
○馬越美佳  都市計画デザイナー・u PLANNING & DESIGN代表
○松田明子  環境デザイン機構 ほか
 



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