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弁護士をやっていて思うこと
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リリーフ法律事務所
 弁護士 松本 治
(東京弁護士会所属)
TEL : 050-5479-4137
   070-8342-3270

 弁護士をやっていて思うこと

 破産のイメージが悪すぎる。

 「破産」と聞いて、どういうイメージを持たれるでしょうか。自分や家族が「破産者」になるとしたらどうでしょうか。私も、破産が「いい」ことだとは思っていません。しかしながら、世の中の破産に対するイメージは悪すぎます。破産に対する誤解・偏見が多すぎます。「破産すると戸籍が汚れる。」「破産すると一生みじめな生活に耐えなければならない。」などなど。これらは全て明らかなまちがいです(「戸籍が汚れる」という表現はやや不適切ですが、分かりやすくするためあえて使いました。)。
 個人の破産(免責も含めて使います。)は、端的に言えば救済のための制度であり、決して制裁ではありません。
 破産して免責を受けると、借金を返さなくてよくなるわけですが、そこにうしろめたさを感じる人も少なくありません。しかし、最優先で考えるべきなのは生活です。その上で、借金を返せるのなら返すにこしたことはありません。しかし、それができなくなった以上、借金が後回しになるのは当然のことなのです。それに、借金というのは、ほとんどの場合、貸金業者からのものが大部分です。貸金業者というのは、破産する人がでることは予測しています。ですから、あらかじめ高い利息をとっているわけです。そういった借金を義理がたく返す必要もないですし、必要以上にうしろめたさを感じることもありません。
 なお、知り合いから無利息(あるいは非常に低い利息で)借りたという場合は、免責が確定してから、その後の収入を使って少しずつ返していけばいいのです。好意で貸して下さった方ですから、できる限りの誠意を見せれば分かってもらえると思います。

 教育の現場にもっと法律を

 学校で法律について勉強したという方はどれくらいおられるでしょうか。わけもわからず憲法の前文を丸暗記しただけという方も多いのではないでしょうか。
 中学校までに、民法・刑法に関わる最低限の知識は、カリキュラムに組み込んで教えるべきですし、高校入試にも出題するべきです。自己責任が叫ばれながら、その前提となる教育をしないのでは、本末転倒です。また、知識を丸暗記するだけでも効果はありますから、必ず高校入試で出題してほしいところです。入試に出ないと勉強にも身が入りにくいでしょうから。
 社会見学などで、裁判所や弁護士会を訪問して話を聞くというのも良いことだと思います。
 この分野でも、弁護士はもっともっと協力できるのではないでしょうか。

 ロースクール〜これではあんまりです。〜

 新司法試験で、当面の合格者数についての政府の素案が明らかになりました。
 その内容は、法科大学院第1期生の合格率が34%となるとのことです。その後も、法科大学院に行っても、現役合格はわずか20%、最終的には50%もの人が法曹になれないとされています。
 いくらなんでも、これはひどすぎます。
 まず、法科大学院は、修了者の7〜8割が法曹になれるという「ふれこみ」だったはずです。異論はあるでしょうが、7〜8割(あるいはそれよりやや少ない程度の人数)が「現役」で司法試験に合格すると多くの人が考えたはずです。
 それが、現役20%、総計50%というのです。
 こうなることは、法科大学院の設置を認可する段階で分かっていたはずです。新しく法曹になる人数はあらかじめ決められていましたから。
 そのことを隠して学生を募集し、授業料を受け取ることは、誤解を恐れずに言えば「詐欺的」です。
 これは、現役の法科大学院生と、現在までに法科大学院に入学するべく準備した学生のみへの影響です。
 このほかにもあります。
 法科大学院は、「プロセス重視」だったはずです。
 しかし、この合格率では、(学生の方には申し訳ありませんが)法科大学院の授業をそっちのけにして、試験対策に重点を置くことになることが確実です。試験でプロセスは判定できないからです。もしできるのなら、試験形式や問題を変えるだけですみますから、現行司法試験が維持されていたはずです。これでは、新しい法曹の「マニュアル思考」(私は、これ自体が現実を見ていない批判だったと思います。)は変わりません。
 合格率が7〜8割であれば、まじめに勉強していれば合格できるわけですから、試験を気にすることなく法科大学院の授業にも集中でき、本来の効果が上がるはずです。
 この論理には、法科大学院の授業をそっちのけにする学生は落第させられるはずだとの反論が考えられるでしょう。しかし、かなり割合を落第させ試験には7〜8割合格するということが制度化され明示されるならともかく、ほとんどの学生が授業をそっちのけにすれば、落第のさせようがなくなります。
 法曹を目指す学生が大きなリスクを背負わされることも新しい法曹の「マニュアル思考」も変わらない、授業料の分だけさらに学生を犠牲にして大学を儲けさせる、という制度改革だったのではないでしょうか。
 ただ、これらのことは、客観的なデータとしては、見えにくいものです。
 しかし、目に見える変化としては、おそらく最悪の事態が起こりました。志願者数の減少です。
 まず第一は、リスクの高さでしょう。ただ、これだけとは思えません。これまでの司法試験も十分にリスクは高かったからです。
 お金がかかりすぎるというのも、やはり大きいと言わざるを得ません。これは、上のこととも関連しますが、やはり予備校に頼らざるを得ないのです。少なくとも、学生の皆さんはそう考えておられるはずです。しかも、入学対策と司法試験対策が必要になるのです。
 これでは、法曹になれるのは一部の金持ち(の子息)に限られ「幅広い人材」など望むべくもありません。
 関係各位には、これだけ「法化社会」と言われて、法律家の重要性が高まり、法曹の仕事の分野も広がっていくという流れができてきた中でこういう事態が起きていることの意味を十分に考えていただきたいと思います。
 私は、法科大学院を廃止して、6年制の法曹養成コースを法学部の中に作るか、法曹学部を新設するべきと考えます。もちろん、定員は十分に絞ります。
 そうすれば、リスクは十分に低くなると思います。現在のリスクは、倍率だけではなく、法曹になれなかったときに就職が困難になるという、年齢による要素が大きいのではないでしょうか。18歳で選択するようにすれば、この要素はなくなるはずです。現行司法試験でも、多くの人は18歳から20歳くらいで受験対策を始めていますから、そこで進路を決めていると言えるのですが、先が見えない制度なのです。
 新卒の採用が圧倒的に多く、転職はわずかであり、一般企業での法科大学院卒業生の募集も少ない現状では、こういった形が最適だと思います。編入を幅広く認めるか、入試の制度を工夫すれば、社会経験のある人材も集まるでしょう。