ゾイド改造コンテスト

 

 そもそもゾイドは、その惑星にたどり着いた地球人が、そこにいた機械獣であるゾイドを改造して、自分らに使いやすいようにしていったモノである。つまるところ、ゾイドとは当初から改造された形であり、そこに更に改造が加えられるのはごくごく自然の成り行きである。と、言うのはソフト面の話であるが、ゾイドは工作セット的な遊びの素材を目指したモノであるのだから、本体に手が加えられるのは、メーカーが当初から望んでいたゾイドの遊び方である。よって、旧シリーズの時からゾイドの改造はメーカー手動で行われ、この「大ゾイド展」の会場でもコンテストが開催されている。

 改造コンテストへのエントリーは、当日集合し、定員になるまでの受け付けとなる。今回は、小学生以下のジュニア部門、親子で共作となる親子部門、中学生以上の一般部門3つに分けられ、それぞれが電動部門・ゼンマイ部門に分けられての都合6部門でのエントリー受け付けであった。親子部門が用意されているところが、ゾイド主体のイベントらしさを感じさせた。なぜなら、2000年6月のホビーフェアでジュニア部門のグランプリに輝いた作品は、電飾部分をお父さんに手伝ってもらった作品であったことから、純粋に小学生の手で作られた作品と大人に手伝ってもらった作品とを区別することで、他の参加者への配慮を思わせたからである。同時に、親子の関係もつなごうと言うトミーからの思いやりもあるであろうか・・・・・

 トミーの予想をはるかに越えた来場者のため、改造コンテストのエントリー数もかなりの数に登ったと思われる。ジュニア部門のエントリー枠は、かなり大きくとってあったと思われるが、それでも改造コンテストの定員オーバーのため、写真コンテストへの変更して、持ち込んだゾイドをイベントに参加させる小学生も多かったと思われる。

 コンテストの各賞は以下の通り。

各賞と受賞者人数

その賞の内容と傾向

グランプリ

ゼンマイ・電動部門各1名

自ずと知れた、部門の大賞。テクニック、アイディア、デザインともに優れたゾイドに与えられます。特に、塗装の仕上がりのきれいな改造が選ばれているように思います。

準グランプリ

ゼンマイ・電動部門各1名

大賞に一歩及ばず。もちろんこれだった立派です。

入選

ゼンマイ・電動部門各3名

総合評価における努力賞か。

以下特別賞

一つの項目に絞っての受賞。また、審査員特別賞。

テクニック賞

ゼンマイ・電動部門各1名

塗装や仕上げの技術に対する賞。

アイディア賞

ゼンマイ・電動部門各1名

改造の発想のアイディアに対する賞。

デザイン賞

ゼンマイ・電動部門各1名

改造したゾイドのデザインのバランスに優れている事に対する賞。

ドクターT賞

ゼンマイ・電動部門各1名

ドクターTが選んだゾイドに対する賞。どちらかというと、大胆な改造に対して与えられていたように思います。

溝渕誠賞

ゼンマイ・電動部門各1名(8日のみ)

8日のゲスト審査員である、漫画家溝渕誠先生の選んだゾイドに対する賞。

上山道郎賞

ゼンマイ・電動部門各1名(9日のみ)

9日のゲスト審査員である、漫画家上山道郎先生の選んだゾイドに対する賞。これがゾイドの改造? 別にゾイドじゃなくても良いのでは? と思わせるような、大胆以上に型破りな改造に対して与えられていたと思います。

(各賞の記載漏れ、補足、誤記がありましたらお知らせ願います。)

2日間の改造コンテストとも、塗装の面で受賞するかしないかが境となったような印象を受ける。下地にシルバーを塗って、その上にクリアーを塗り重ねたような、見る角度によって色が変化しているように見えるような機体が受賞機体としていくつも上がっていたように感じる。実際、受賞作品の講評時のドクターTの口から「対ビームコーティング」などという言葉が何度か聞かれたことも、この大ゾイド展の改造コンテストにおける受賞作品の傾向として、「きれいなゾイド」が選ばれたと言って良いのではないかと思われる。

 都合20人の作品発表と表彰式を行うため、ジュニア部門、親子部門、一般部門とそれぞれ1時間ずつの枠をとって、個別に表彰式が催されている。受賞者は、その場でプレゼンターとナビゲーターと一緒に記念撮影が行われている。

 

 当生産工場からは、二日とも1体ずつのゾイドをエントリーしている。

 初日には、カノントータス・コーストガードをエントリーした。幸いにも、主砲が上を向いた状態での展示をしてもらえたのであるが、賞には箸にも棒にもかからなかった。しかし、作品返却後、トミーのゾイドチームの大河原さんに作品を個別に見てもらい、目の前で実際に動かしたところ、「すごい」の一言をもらうことができている。この日は、来場者がとても多く、コンテスト参加ゾイドもかなりの数に登ったため、一体一体のゾイドをじっくり見ることができなかった部分もあったそうで、外見上改造しているように見えない機体は、なかなか目を引くことができないと言う、予想されたとおりの結果であった。同時に大河原さんの口からは、「こうしたゾイドに大賞をあげたい」という言葉が聞かれている。実際に、装飾的改造のないゾイドに大賞をあげるのは大げさであろうとは思うが、ゾイドの改造は武器の追加が主体であるモノの、ゾイド開発者の中には、ゾイドにはギミックありき、がしっかりと意識されていることを確認することができ、ギミックでゾイドに引かれたモノには、とても心強い思いにとらわれている。これをきっかけに、ゾイドを開発するにあたって配慮していること、ゾイドデザインのやり方などなど、開発者ならではの興味深い話を聞かせてもらうことに成功している。この辺の話は、考察を交え、研究所の方で形にしたいと考えている。

 二日目には、モルガ・情報隊仕様をエントリーしている。既にこの時点で、製作から1年が経とうとしている機体である。しかし、生産工場では、新シリーズ最初の生産ゾイドであり、同時に、初めてゼンマイゾイドにギミック追加に成功した機体でもある、それなりに思い入れの入っているゾイドである。

 そして、モルガ・情報隊仕様は、一般ゼンマイ部門のアイディア賞に輝いた。驚いたことに、アイディアショーのプレゼンターは大河原さん。初日に、カノントータス・コーストガードを目の前に話をしたせいで、無理に賞をいただいたしまったような気もしなくはないが、ゾイドの改造にはギミック改造もあり、をアピールするには、大きくその存在をアピールする必要もある。こうして賞をいただけたことで、モルガ・情報隊仕様を大きく知れ渡らせることができたのは、いよいよギミック改造の存在が認知されはじめるであろう。講評では、塗装もしっかりされていること、そして何により、情報隊仕様と言うことでパラボラアンテナを装備しそれが回転すると言うことも受賞の理由となっていることが説明された。また、アイディア賞かテクニック賞でもめた、とも発表された。アイディア賞(特別賞)の賞品は、発売直後のライトニングサイクスだった。

 作品返却後、改めて大河原さんより、パラボラアンテナを回転させて動くモルガを前にもらった一言がある。「こういう改造を見ていると安心する」と。開発する側として、ゾイドにはギミックがなければならないことは常に意識されているという事の表れであろうが、実際の改造コンテストで、そのギミックのアピールはまだまだ楽ではなさそうである。これをきっかけに、ギミック改造が認知されることを願うばかりである。

 

 さすがに純粋なゾイドのイベントとなると、労を惜しまずコンテストに参加するファンもいるので、上には上がいるわけである。受賞者の中には、二日連続で賞をとった人、親子部門と一般部門の両方で受賞した人がいたりと、いかに腕の立つファンがゾイドを改造し、いかにこの二日間で力作が集まったかを表していると思われる。ゾイドイコール改造するホビー、という、単なるおもちゃでないゾイドが定着するための、大きなイベントであったと思いたい。 

 

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 アイディア賞受賞後の記念撮影。右から、

コンテスト表彰式のナビゲーターさん

LightJester(一般・ゼンマイ部門「アイディア賞」)

アイディア賞プレゼンター・大河原さん

一般・電動部門「アイディア賞」受賞者