法則を考えた英国人のフレデリック・W・ランチェスター(1868年〜1946年)は
40歳まで12年間自動車会社を経営したあと、会社を売却して技術コンサルタント
になった人です。
1914年7月28日に勃発した第1次世界大戦に刺激を受け、戦闘時における真の
力関係はどのように決まるかということを、自分の研究室でじっくりと考えました。
その結果、およそ2カ月後の1914年10月2日、45歳のときに、ピタゴラスの定理に
インスピレーションを得て、以下の2つの法則を発表した。
これが後に、「競争の法則」と呼ばれるようになったのです。
アメリカは第2次大戦での戦いにこの法則を応用し、大きな成果を上げた。
これら一連のやり方が「オペレーションズリサーチ」という新しい学問を生んだ。
昭和30年9月に日本で翻訳出版され、経営に応用されるようになった。
この何でもない2つの公式の研究から、経営には2種類のやり方があることが
解りました。それが「強者の戦略」と「弱者の戦略」です。
@ ランチェスター第1法則 「弱者の戦略」
戦闘時における真の力関係とは、攻撃力を示します。その攻撃力についての
第1法則は、次のような式で表されます。
攻撃力=兵力数 X 武器性能(質)
もし武器性能や兵士の能力などの質がかわらなければ、攻撃力は兵力数に
比例することになります。第1法則の条件は、まず刀や槍など射程距離が短い
兵器を使い、次に敵に接近し、さらに1対1の戦いをしたときだけに成立します。
そのため、攻撃力を最大限に活かすためには、敵に接近して1対1の戦いに
有利な状況を考えることになります。武器は刀や槍ですから、相手の性能と
ほとんど変わりません。兵士の能力も全員がずば抜けて良いとは考えられま
せんので、能力の平均も同じとします。
そうすると、兵士の数が多い軍が有利になります。ですから、少ない兵力で有利に
戦うためには山の険しい所や森が深い所などを戦場に選び、一騎打ち戦がしや
すいような陣を組む必要があります。
こうしたことから、第1法則を「一騎打戦の法則」とも呼びます。
経営に於いて、小さな会社は人数(兵力)が少ないので、この「弱者の戦略」を
使って「接近戦」や「一騎打ち」に持ち込まないと不利になる。
A ランチェスター第2法則 「強者の戦略」
次のような式で表されます。
攻撃力=兵力数の2乗 X 武器性能(質)
もし武器性能や兵士の能力などの質が変わらなければ、攻撃力は兵力数の2乗に
比例することになります。
第2法則の条件は、ライフル銃や機関銃など射程距離が長い兵器を使用し、次に
敵味方が離れた状態で戦ったときだけに成立します。
攻撃力を最大限に活かすためには、射程距離が長い兵器が使いやすいよう、見通し
がよい平地を戦場に選び、かつ離れて戦いができるような陣を組む必要があります。
こうすると、兵力が圧倒的にものをいいます。こうしたことから、第2法則のことを
「間隙戦の法則」とか「確立戦の法則」とも呼びます。
経営に於いて、大きな会社は人数(兵力)が多いので、「間隙戦」や「広域戦」にすると
数のメリットを有効に活用できる。
参考、引用文献:竹田陽一「プロ★社長」(中経出版)他

ランチェスター経営
竹田陽一先生
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