受験算数講座(2) 更新2005年2月27日・久保田塾
久保田塾トップページにもどる
線分図
一言で言うと、文章で聞かれている内容を線分の長さに置き換えた図のことです。
数量の違うもの同士を比べたり、周期性を調べるのに活用します。
基本は次の通りです。
量の違いを大まかな長さの違いで示す。
2つ以上の量の差を考えるときは、各線分の左端をそろえて、右側に差を示す。
例えば次のような具合です。
(例1)子供が何人かいます。一人あたり3個ずつお菓子を配ろうとしたら15個あまるので
一人5個ずつにしようとしたら、今度は3個たりません。
子供は何人いますか。またお菓子は何個ありますか。
書く線分は何本になると思いますか。
多くの参考書では2本の線分で説明していますが、私は3本書きます。
まず子供の人数を□として、3×□を考えます。
これは3個ずつ配るのに必要なお菓子の個数を示しています。
これを線分で示します。
次に実際のお菓子の個数はこれより15個多いですから、
1本目の線分より15長い線分を2番目に書きます。
そして3番目に5個ずつ配るのに必要なお菓子を示します。
5×□となりますが、実際より3個長くなりますね。
ですから、2番目の線分より更に3長い線分を書きます。更に、割合の要素が入った問題では、その関係を比の数で表し、
○や□などのマークで数字を囲んで示します。
このような図は様々な活用が可能です。
ちなみに具体的な図を使った解法をご覧ください。
線分図の実例どうですか。文章から式を作って解くだけより分かりやすくないですか?
では、どんな問題に使われるのでしょう。
圧倒的に多いのは割合にからんだ問題です。また変化を見るのにも便利です。
年令算
差集め算
倍数算
分配算
相当算
和差算
流水算
要素が二つの集合の問題
ただし、あまり複雑なものはかえって煩雑になり分かりにくくなることもあります。
例えば、人数が多い年令算の問題など。
こうした問題には、「表」や「(流れを示す)チャート」などを使います。
では、なぜわざわざ線分に置き換えるのでしょうか。
それは次のような理由からです。
(1)視覚化により、より具体的にイメージがつかめる。
(2)割合を使う問題では、共通部分が見つけやすい。
(3)共通部分が見つからないときの処理が一般化できる。
線分図の処理の一般的な考え方は次の2つです。
(2−1)割合のマークをそろえる(違うマークで同じ長さの部分があるとき)
(2−2)割合の長さをそろえる(違うマークで同じ長さの部分がないとき)
上記3.までの使い方のほかに、「数の性質」の問題に使うのも有効です。
例えば「7で割ると5あまる数」を線分で表してみましょう。
7にあたる線分を左から右に3個ほど続けて書きましょう。
その先しばらくは点線にして、また2個ほど7にあたる線分を書きます。
そして、その次に5にあたる線分を1個書きます。
すると左端から今書き終わった5までの線分の右端までがこの数を示したことになります。
これは、例えば次のような問題を考えるときに活用できます。
(例2)7で割ると5あまり11で割ると9あまる最小の数はいくつですか。
まず7で割ると5あまる数を線分で示します。
先ほど書いた図がそのまま使えますね。
次に、11で割ると9あまる数を2本目の線分図として、先ほど書いた図の下に
左端をそろえて書きます。
書き方の要領は同じです。
ただし、7や11や5や9の個々の線分の長さにあまり神経質にならなくて良いです。
大体の大小関係が分かれば充分です。
大事なのは、数全体の右端もそろえるということです。
出来た図を見てみましょう。
1本目の線分図では右端から5もどったところまでで7の倍数と分かります。
2本目の線分図では右端から9もどったところまでで11の倍数と分かります。
ただ、これだと7の倍数の部分と、11の倍数の部分とが違う長さ
(=違う大きさ)
ということですから、公倍数は使えませんね。
ところが、
7−5=2
11−9=2
つまり、この数に2を足してあげれば、ちょうど7と11の公倍数になるのです。
どうでしょう、そのことが、線分図を使うと楽に理解できませんか?
だから、この数は、7と11の最小公倍数-2と分かります。
答えは75です。今年(2005年)の立教新座中の問題にも、この活用法を覚えておくと楽に解けるものがありました。
立教新座中2005年の「数の性質」の問題
以上、簡単に線分図について解説しましたが、これらの基本的な考え方は案外と説明されないまま
ただ経験的に線分に置き換えている解説が結構あります。
様々な参考書、塾での解説で線分図が出てきたとき、これらの説明を思い浮かべながらその線分図を眺めてみてください。
そして、その活用法を調べてください。
すると、そこで得た知識が、他の分野の問題にも適用出来ることに気づくと思います。
いや、むしろそうした発見を意識的にしようと思って解説を読んでみましょう。
そして、自分なりの把握をしてみましょう。
すると、年令算と分配算とが
実は殆ど同じ解き方だったりということに気づくと思います。
そして、より一般的な算数の解法があると気が付きます。
そうした発見の積み重ねが、算数の学習をより楽しいものにしてくれます。
そして勿論、そうした積み重ねが実戦力を付けるのは言うまでもないことでしょう。
まさに考える力を養う学習だと思います。(久保田塾・久保田實)
線分図トップへもどる。
久保田塾トップページへもどる