(2005年入試の面白い問題とその解法を紹介します。) (2005年1月26日更新)
開智中 市川中 東大寺学園中 立教新座中
開智中
A君はりんごを10個、B君はみかんを10個買おうと思ってスーパーに行ったところ、どちらもお金が足りなくて9個ずつしか買えないことが分かりました。もし9個ずつ買ったなら、A君の残りのお金でみかんがちょうど2個買え、2人の残りのお金をあわせるとりんごがちょうど1個買えることに気がつきましたが、結局買わずに困っていました。
ちょうどそのとき、 りんごの安売りが始まって、りんごが1個92円になったおかげで、2人のお金をあわせるとりんごとみかんがちょうど10個ずつ買うことができました。
(1)りんごはいくら値下がりしましたか。
(2)A君、B君が持っていたお金はそれぞれいくらずつでしたか。
解き方(1例です。他の解法も考えられます。)
物の値段や個数といった自然数を扱う問題は、表や式にまとめると分かりやすくなります。
りんご1個の値段をリンゴ
みかん1個の値段をミカンとして、式を作ってみましょう。
では、式を作り、解いていきます。
(1)
A君の所持金=リンゴ×9+ミカン×2
B君の所持金=ミカン×9+半端
また
リンゴ=ミカン×2+半端
すると
二人の所持金の和=(ミカン×2+半端)×9+ミカン×2+ミカン×9+半端
整理すると
二人の所持金の和=ミカン×29+半端×10・・・・・(式ア)
一方、値下げ後の関係から
二人の所持金の和=92円×10+ミカン×10・・・・・(式イ)
式アと式イとから
ミカン×29+半端×10=ミカン×10+920円
=の左右からミカン×10を引くと
ミカン×19+半端×10=920円となる。
ここで、ミカンも半端もみな整数なので
ミカンは10の倍数と分かる。
また、半端はミカンより小さい数である。
するとミカン=40しか当てはまらない。
半端は16。
するとリンゴ=40×2+16=96
リンゴは値上がり前に96円だったと分かる。
よって、答は96−92=4円。
(2)
続いて(2)に行きます。
(1)が分かれば簡単ですね。
まずA君。
96円×9個+40円×2個=944円
次にB君。
40円×9個+16円=376円
一見取っつきにくい問題でしたが、式にまとめてみると文章で読んでいるだけより分かりやすくなると思います。
ほほえみを君の手に。
がんばろうね!
もう1題いきましょうか。
ちょっと似てますね。
市川中
A組の生徒45名とB組の生徒40名と先生5名でプールに行きました。プールでは入場料、昼食代、レンタル浮き輪代がかかり、それぞれの代金を払った人数と支払い総額は下の表のようになりました。また、先生1人あたりの入場料は生徒1人あたりの入場料の2倍でしたが、昼食代は生徒と同じでした。このとき、生徒1人あたりの入場料を求めなさい。
|
入場者 |
昼食 |
レンタル浮き輪 |
支払い総額 |
A組 |
45名
|
45名 |
10名 |
57000円 |
B組 |
40名 |
40名 |
15名 |
52500円 |
先生 |
5名 |
5名 |
0名 |
8000円 |
解き方(1例です。他の解法も考えられます。)
生徒の一人分の入場料を☆としてみます。
先生の一人分は☆☆とします。
また、昼食代は一人分を◇とします。
浮き輪代は◎。分かりやすいですね(笑)
これも、式を作ってみましょう。
A組
☆×45+◇×45+◎×10=57000円・・・・・(式ア)
B組
☆×40+◇×40+◎×15=52500円・・・・・(式イ)
先生
☆☆×5+◇×5=8000円・・・・・(式ウ)
(式ア)と(式イ)の◎をそろえます。
(式ア)×3
☆×135+◇×135+◎×30=171000円・・・・・(式エ)
(式イ)×2
☆×80+◇×80+◎×30=105000円 ・・・・・(式オ)
(式オ)−(式エ)を計算して
☆×55+◇×55=66000円
これは(☆+◇)の55人分で66000円になると言うことなので、左右を55で割る。
☆+◇=1200円・・・・・ (式カ)
一方、(式ウ)から
(☆☆+◇)の5人分は8000円なので、左右を5で割る。
☆☆+◇=1600円・・・・・(式キ)
(式カ)と(式キ)とを比べると
☆一つが差の400円と分かる。
よって、答は400円。
東大寺学園中
1から11までの整数をすべてかけてできた数をNとします。
(1)Nを6でくり返し割ると何回割り切れることになりますか。
(2)(1)で最後に6で割り切れたときの商を、さらに6で割ると余りはいくらになりますか。
(3)Nの百の位の数字はいくらですか。
解き方(1例です。他の解法も考えられます。)
数の性質について、定番ともいえる問題のひとつです。普通は2とか、3で割れる回数を聞くものが多いのですが、ここでは6について聞かれています。でも、考え方は全く同じ。
(1)
6=2×3
なので、Nの中に2と3がいくつ入っているかを数えます。
N=1×2×3×4×5×6×7×8×9×10×11
=1×2×3×2×2×5×2×3×7×2×2×2×3×3×2×5×11
2は8個、3は4個入っています。
2×3は4組できます。
だからNは6で4回割り切ることが出来ます。
答え 4回
(2)
2を4個、3を4個Nから取り除くと次のようになる。
1×5×7×2×2×2×2×5×11
計算すると10×10×7×2×2×11=30800
これが「(1)で最後に6で割り切れたときの商」にあたるので
30800÷6=5133・・・2
よって、答えは 2
(3)
Nの百の位の数とは、Nを100で割った商の一の位の数にあたる。
(1)と同じ考え方で、Nを100で割るというのは、Nの式から
2と5を2個ずつ取り除いた数。
1×3×2×2×3×7×2×2×2×3×3×2×11
これを計算しながら、一の位だけを考えていけばよい。
よって、答えは 8
整数に関する問題はやはりよく出ますね。
別の学校でも面白い問題がありました。
立教新座中
1から15までの整数の積から1から15までの整数の和を引いた数を154で割ったときのあまりはいくつですか。
解き方(1例です。他の解法も考えられます。)
これは一見どこから手を付けて良いのか悩むような問題ですが、整数の性質を理解していれば簡単。
次の式を見て「ああなるほど」と思えれば充分。
「ええ何で?」という人は、もう一度倍数と約数や、素数の積で数を示すこと(素因数分解)とかをおさらいしておきましょう。
そして下の解法を見ながら線分図を書いてみましょう。
154=2×7×11なので、「1から15までの整数の積」は154で割りきれる。
また、「1から15までの整数の和」=(1+15)×15÷2=120
よって答は154−120=34
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