「活元運動」体験手記

 この文章は、元塾生の白石さんが、入塾4年目のときに書いてくれた活元運動の体験談です。ここには彼が、彼自身のからだと向き合い、からだと取り組みながら、活元運動を会得していくまでの様子がよく描かれています。これは、自分のからだと本気で挌闘した人でなければ、書くことのできない文章です。活元運動を始めたばかりの方々には、よいアドバイスになることでしょう。


活元運動が出るまで

白石 真基
(東京都在住 34才 啓哲塾塾生)

●なぜ活元運動が出ないのか

 私は、本当の活元運動が出るまでに一年近くかかりました。毎週、錬成会に参加して、整体の勉強を続けていたにもかかわらず、ずいぶんと長くかかったものです。
 私の場合は、まず頭の緊張が上手く抜けないということが、活元運動の出ない大きな原因であったと思います。頭が緊張すると、それが体に伝わり、体が硬くなって、動きは出てきません。
 頭の緊張を取れば良いことなのですが、これが容易ではありません。頭に緊張が起こるというのは、脳が余計に働いている状態で、使い過ぎているわけです。例えば、過日の後悔をしたり、先の心配をしたりと、そういう具合です。
 余分なことは、いつでも、どこでも浮かんで来るものです。こういった時に、もし何か他の事に関心を移すことができれば、そういう余分な考えが消えるということはわかっていました。が、しかし、なかなか思うようにはできません。今にして思えば、それは「身体の裏づけ」がまだ無かったからだと言えます。つまり、当時はまだ心身が整っていなかったのです。

日常の心身に注意する

 それが錬成会への参加を続けていくうちに、日常の心身の状態に注意するようになりました。そうしていくと、身体が進歩すると同時に心の様子が変わり始めたのです。一つのことに集中することがよくできるようになりました。集中ができると、今度は休むこと(力を抜くこと)も上手にできるようになります。こういう経過を通して、私は、余分な考えが浮かぶ機会が少しづつ減っていきました(集中力と雑念の関係)。
 活元運動の三つの準備運動も、雑念から離れる良い方法です。しかしながら、これらの準備をしても、なかなか運動が出ないという人は、始めのうちは、少しだけ意識的に動いてみると、それがきっかけになって段々と無意識の動きが出て来ることがあります。
 また、私の場合、あまりに結果を求めて行ったため、頭に血がのぼり、終ってからも却って不快を感じたことがありました。意識的に動き過ぎてしまったことが原因でした。
 活元運動は毎日行なう必要もないし、まして義務的にする必要はありません。本当の活元運動が出るようになると、次第に体が敏感になり、自分の体の歪みを感じとることができるようになります。そうなると、今度は体の方から活元運動を要求してきます。その要求が湧いて来てから行なうことが、一番自然で良いと思います。私の場合は、夜寝る前に坐禅を少ししますが、その時に活元運動が自然に出てくることがあります。そうなったら、そのまま、その要求に従って動くようにしています。
 ご存知のように、子供は活元運動などわざわざやらなくても、一晩寝れば元気な身体に回復します。これは、寝相も活元運動であって、自分で自分を整えていると考えれば納得できます。
 しかし、大人は一晩寝た位では疲れが取れないということは、よくあります。これは、過剰にどこかに力が入っていて、それが抜けないからです。活元運動をして、偏った疲労を取り、それからよく寝れば、子供のように、翌朝スッキリ目が覚めるということも不可能ではありません。
 活元運動をすることで、結果的に病気が早く経過したり、大病にかかりづらくなるということはあります。それは活元運動をすることで、本来の自分の心身を取り戻し、本来の身体の力(自然治癒力)が発動されるからです。
 病気や症状の出る前の小さな変化を感じとり、それをすぐに調節できる、こんな身体を目指しています。

2001年9月10日