『「気」の身心一元論』

読 書 会

    

気・自然健康保持会 近藤佐和子
伏島多佳子

2012年10月28日(日)読書会

       

鎌倉支部

『「気」の身心一元論』読書会のご案内 NEW

   

2013年2月1日 伏島記

 読書会は、2011年12月の発足以来、14回行われました。参加者は除々に増え、現在では質疑も活発に行なわれる充実した会となっています。
『「気」の身心一元論』を購入したものの、「この本は難解」と思われた方もあることと思います。哲学的、科学的な用語に不慣れで、よく意味がわからない言葉も多いかもしれません。
 この読書会は、用語の解説をし、順に「音読」をしながら進めています。
他者の音読を聴く事で、それまで一人で読んでいたのとは違い、不思議と言葉が身体の中に入って行くのです。
 最近では、質疑応答する中で理解が深まってきたという声が多く聞かれるようになりました。

 現在は、第三章「活元運動」に入りましたが、この章は、野口先生の『偶感集』(全生社 1986年)にある「脱力」という文章から始まります。

 脱力

 体の力を抜きなさい。筋を出来るだけ弛めなさい。体の力を発揮する第一の方法です。力を入れ筋を硬くしないと、体力が発揮されないと思うのは間違いです。丸木橋を渡る人や、清書をしようとする人をご覧なさい。固くなっている間は、本来の力を発揮しません。恐怖や驚きのまま固まってしまっているような硬直した状態は、決して人間の自然の相とは言えません。筋を弛めると、自ずから下腹で呼吸するようになるのです。

 そして、この文章の後に「下腹で呼吸する身体をかつては「自然体」と呼んでいました。」とあります。
 呼吸は肺でするもの
(近代的・解剖学的身体観)と思っている人には、この「自然体」の意味を理解することはできません。
 自然体とは、伝統であった「日本の身体文化」が目標とした身体だったのです。
しかし、参加者からは「こういう言葉を聞いた事がない、体感した事もない」という声が聴かれます。
 明治以来の近代教育とは、国民に、西洋文明・近代科学を学ばせることでした。その流れの中、敗戦後の伝統文化を失った時代に育った人々は、西洋的世界観のみを教育されてきたのです。
 参加されている方々が、西洋的な世界観を教育されてきたという意識を持っているわけではありません。それほどに伝統的な「身体性」を喪失しているのが現代です。
 このような時代の人々が、伝統文化
(道・「腰・肚」文化)に立脚する野口整体を身につけるためには、

一 自身に身についている「近代科学的身体観」が
  どのようなものであるかを改めて認識すること。
二 その上で野口整体の基にある「東洋宗教的身体観」を
  理解し、両者の差異を通じて野口整体の生命観を理解すること。

 金井先生は、この二つが是非にも必要なことだと痛感され、それが、先ず『「気」の身心一元論』に著されました。
 この「東洋宗教的身体観」について、詳しく解説をするのも読書会の大きな役割です。

 野口整体の行法(活元運動・愉気法・整体操法)を身につけたい、思想(全生思想)の理解を進めたい方は、この読書会を通じて、東洋宗教文化を学びつつ、野口整体の理解を深めていただきたいと思います。
 日本人としての自身の「身体の確立」を目指す、あなたの一助となるための会が、この読書会です。

   

      

《参加申し込み》

日時 第四日曜日 
    集合12時30分  開始13時  終了16時

講師 伏島多佳子・近藤佐和子

持ち物 『「気」の身心一元論』・筆記用具
 
★当日読む箇所を熟読のこと

※正坐のためのストレッチを行いますので、ゆったりしたズボンとシャツ(綿100%・薄手のもの)をご用意の上、会場でお着替え下さい。

会費 2,500円

要予約 

〈連絡先〉伏島多佳子(鎌倉支部)

住所 鎌倉市二階堂405-5
電話番号 0467-25-3870
E-mail  
annafusejima@inter.net

     


       

 これまでの読書会の模様

伏島多佳子 記

2012年2月28日

 鎌倉支部では、活元指導の会で参加者を募り、これまで二回、読書会を行ないました。その様子を紹介します。

     

第一回 2011年12月25日

 『「気」の身心一元論』が刊行されて二ヶ月が経ちました。
この本を手にした方々に、その内容について、より理解を深めていただきたいという気持ちから、本に深く携わってきた塾生
(近藤)による読書会を初めて開催しました。

 当会の名物である「音読」についての説明から始めることになりました。正坐での音読は、身心の一元性を高めるものです。自分の身体に声を響かせ、その声を聴きながら読んで行きます。そうすることで言葉が自分の中に入り、自然と身体で理解していく事に繋がります。聴く人にとっても、お腹から出た言葉が身体に及ぼす影響を知ることができます。

 この日の読書会では、序章を読み進めて行きました。

 序章「自分の健康は自分で保つ」― 養生・修養としての野口整体 はとても大切なテーマです。誰しも、自分の健康は自分で保っていきたいという願いはあるのでしょうが、実際には多くの人が出来ないと思っているのが現状です。この章ではその為に必要な「上虚下実」の身体と、それを育む修養・正坐と活元運動について書かれています。

 参加された方にとって、「上虚下実」という言葉は、馴染みの薄いものだと思います。その中で大切な重心感覚、中心感覚というものがどのようなものであるかを中心に話を進めていきました。

 初めての試みでしたが、参加された方の熱心さに支えられ無事に終える事が出来ました。

   


    

第二回 2012年2月26日

  

 この日の読書会は、前回に続き、一章の一を読み進めて行きました。

 一章「今著へのあぷろーち」は、金井先生が野口整体の「社会的立脚点」について深く考えられた結果、科学と近代性の問題が浮上してきた軌跡が書かれています。野口整体と科学とどう関係があるんだろう?と思いがちですが、「科学の発展と身体性の衰退」、そしてこのことが心の問題を生んでいることについて述べられているのがこの一章です。

 野口整体に興味を持ち学んでいこうとする時に、まず必要な事があるのです。それは、自分がどういう時代に育ち、どういう教育を受けてきたかが、自分の身体の成り立ちと関係があることを理解する、ということです。

 野口整体は、日本の伝統的な身体性が基盤となっているのですが、身体文化の衰退を認識できていない世代が、野口整体を自分のこととして捉えられる様になるには、どう伝えるかが問題なのです。金井先生が試行錯誤された様子を参加者に伝えながら話が進みました。

 西洋と東洋では、身体の捉え方が大きく違い、西洋医学が当たり前の時代に生きてきた人にとって、まずその違いを理解していく事で、野口整体をよく理解していけるのではないかと思いました。

 実際に参加されている方も、正坐、音読を通じて、野口整体の身体観に触れて頂けたように思います。会が終わる頃には皆さんの坐っている姿がしっかりとしたものとなっていました。

         

    

読書会 参加感想文 (1) (2)