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 和平復興関連No24 



2003-12-12

ノルウエーに道はない
アイランド紙匿名記者

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 チャンドリカの反乱以来、スリランカの国会運営、LTTEとの和平交渉が行き詰まった事を見とおして、悲観的な憶測が流れている。スリランカの一般紙アイランド(英字版)に今回の騒動への関連記事が掲載された(24/Nov/2003)。ノルウェーへの失望感が漂うと同時に、この国の人々の苛立ちが、いつものように、繰り返される。
 記事に、「…ノルウエーを公平な仲介役としては、もはや信頼する事が出来ない。彼等はスリランカにタミルの分離独立国家を建設しようと密かに策略している」という下りがある。
 これはノルウエーが和平交渉に乗り出した経緯からすれば、当然に湧きあがる不満の声だ。ノルウエーの病院で入院治療をしていたタイガーの中枢との接触の中で彼の国が仲介役を果たす事が決定された。その経緯が、「ノルウェー撤退」の危うさを予見していたのかもしれない。
 ノルウエーがLTTE側に立っているという見方はシンハラ・ジャーナリストの不満だ。スリランカのハイレベルな中間派は次のようにも指摘する。
 「…チャンドリカは水銀のようにコロコロと心を変え、往々、民衆を指導する立場にある者としては大人気ない事をする。英国は私たちに議会制民主主義を与えてくれたが、この国は英国のように女王に忠誠を誓う政党が政権を交代する国ではないということに。英国自身が気付かなかった。女王の政権はその反対政党--これも女王に忠誠を誓う政党だが--、その政党と協議をする事で機能する。しかし、この国では、絶体絶命の危機に瀕している今でさえも、UNP、SLFP両者の政党の協議はなされていない。この国の政治は民主主義だと言うが、本当にスリランカは民主主義を行っている国か。私はその事に悲観している」

 30年ほど前だがあのナンダー・マーリニが「さくら花」という歌をうたってはやらせた事がある。
 「…♪ 国会で議員はあがらうばかりで、わたしたちには混乱を正す術もない。杖にすがって月を見ているだけ ♪」というフレーズで歌は終わるが、そのやる方ない雰囲気が今また、スリランカの”インテリ”を襲っている。アイランドの匿名記者は記事を次の一節で閉じている。

 
「…政治家はこの国が彼等自身よりも偉大だということに気付いていない。彼等がこのままであれば歴史は彼等を呪うだろう。大統領、そして首相を」

                                          『かしゃぐら通信』